こんにちはボクシングブロガーのtorajiroです。
亀田興毅さんがファウンダーとなって立ち上げ、今や日本を代表するボクシング興行の一つとなった3150FIGHT。
3150FIGHTはABEMAで無料配信されており、2023年10月7日(土)に配信された3150FIGHT vol.7は3150FIGHT史上最高の視聴数を獲得するに至りました。
現地で観戦していた私torajiro的には3150FIGHT vol.7は会場観戦のメリットもデメリット強く感じた印象深い興行となりました。
今回は3150FIGHTをABEMAではなく会場で観戦することのメリットとデメリットを紹介した上で、今後に向けた会場観戦と配信が両輪となってボクシング界を盛り上げる方策を考えたいと思います。
3150FIGHTを会場で観戦するメリット
では初めに3150FIGHT会場観戦のメリットから紹介。
大阪の興行を現地観戦したことはありませんが、これまで僕は以下の興行を現地で観戦してきました。
- 3150FIGHT vol.5 ~東京初進出!東京を殴りにいこうか!~ 国立代々木競技場 第二体育館
- 3150FIGHT SURVIVAL vol.7 後楽園ホール
- 3150FIGHT vol.7 ~拳闘士はゲンコツで語る~ 大田区総合体育館
会場それぞれにも特色はありますが、長年ボクシング観戦をしてきた自分からしても3150FIGHTの現地観戦は通常の興行とはレベルがかなり違うと感じています。
配信では味わえない迫力
3150FIGHTの大きな特徴の一つが入場も含めた派手な演出。
入場時の大音響の音楽に大画面モニター、照明、レーザーの演出で試合に向けて観客のテンションも上がっていきます。
配信でも派手な様子は分かるかと思いますが、会場で体感するのはやはり違います。
映像で視覚的に受ける刺激と、会場で体全体で体感するのとはこんなにも違うのか!?
と感動すると思います。
特に但馬ミツロ選手の入場シーンは最高です。
アントニオ猪木さんから継承された「炎のファイター」ミツロボンバイエに合わせてヘビー級の大男が入場してくるのは圧巻。
また、入場だけではなく試合中もリング周辺がレーザーで照らされており、これがまたメチャクチャ格好良い。
大会場の場合はリングサイドは高くてなかなか手が出ませんが、2階席とか遠くの方が逆にこうした演出の良さが伝わってくるかもしれません。
大会場と言ってもキャパ2,500〜4,000程度の会場なので試合が遠くて良く見えないということは全くありません。
3150FIGHT vol.5が開催された国立代々木競技場の第二体育館は客席に傾斜があって2階席でもめちゃくちゃ良く見えました。
3150FIGHTはボクシングの興行では珍しいオープニングセレモニーなんかもあって、演出面ではボクシング界最高峰の興行と言って過言ではないでしょう。
会場でしか分からない現場の様子が知れる
会場観戦で普段自分が楽しみにしているのは配信では映らない現場の様子。
- パンチの音
- セコンドの指示内容
- 会場の盛り上がり
- 各選手の応援団の多さ
- 観客の推移
映像では分からないですが、選手のパンチ音は会場だと響き渡るので、パンチ力のある選手は配信よりも優勢に試合をしているように見えます。
試合中のセコンドの指示も会場によっては割と聞こえて来ます。
会場の盛り上がり具合も良く分かり、亀田和毅選手とドラミニ選手の試合は一部の応援以外客席もややおとなしめでした(探り合いの展開が長過ぎた)。。
会場観戦していると一つの興行でも試合が進むに連れてお客さんは増えて行く様子や、メインの前に意外と帰るんだなといった推移も分かります。
また、会場でのボクシング関係者の動きを追うのも楽しみの一つ。
次世代のモンスターとして注目される藤木勇我選手がKWORLD3ジムの輪の中にいる様子から、プロに入ったらKWORLD3ジムに所属して3150FIGHTがプロデュースしていくのかなと未来戦略を想像してみたり。
こうした会場ならではな配信に映らない面が知れるのはマニアには堪らない楽しみの一つです。
ハーフタイムショー等、毎回実験的な新しい試みがある
3150FIGHTで賛否ありつつ話題になるのはハーフタイムショー等の新しい取り組み。
3150FIGHT vol.5ではナントASKAさんがYAH YAH YAHを熱唱していましたが、あんなの普通のボクシング興行でしたら有り得ないエンタメですね。
3150FIGHTではラウンド間のインターバル中に前のラウンドのハイライトが実況され、アナウンサーが応援の声掛けをするような仕掛けも取り入れています。
新しい試みはお客さんが上手く反応出来ないことも勿論ありますが、トライして反応見て改善していくことで発展していくもの。
特に3150FIGHTの試みは「如何にボクシングに詳しくない方にも楽しんでもらえるか?」をテーマに取り組んでいるので行き当たりばったり感がない。
基本コンセプトにブレがない点は3150FIGHTの素晴らしいポイントだと思います。
たくさんの芸能人を間近で見ることが出来る
3150FIGHTの興行は会場の規模的には先に紹介した通り2,500〜4,000人収容の中規模程度。
SURVAIVALに至っては後楽園ホールなのでMAXでも1,400人規模。
この規模感で3150FIGHTにはたくさんのボクシング関係者・芸能人・有名人が来場されるので、休憩時間に魔裟斗さんとすれ違ったり、たくさんの芸能人やボクシング関係者を間近でみる事が出来ます。
勇気のある方は一緒に写真を取っていたり。
(自分に勇気があれば史郎さんと一緒に写真撮りたい。)
パンフレットも豪華で初観戦の方を意識した作り
3150FIGHTはパンフレットも超豪華。
3150FIGHT vol.7はパンフレットが2冊に分かれていました。
1冊は主にスポンサー紹介でしたが、それだけ多くのスポンサーが付いて3150FIGHTを盛り上げてくれているということ。
ボクシングルールをまとめたページもあり、初観戦の方々にも優しい作りになっています。
初めてボクシングを観にきたお客さんを強く意識した作りはボクシング界にはなかったとても大事な視点だと思います。
3150チケットという破格の観戦チケットが存在する
ボクシングのチケットはコロナ禍を経て随分と上がりました。
20年前でしたら3,000円の席なんかも普通にありましたが、今は安くても5,000円。
世界戦が行われるような興行でしたら一番安い席でも6,000円〜8,000円は行くでしょう。
そんな時代に3150FIGHTは破格の3,150円という客席を用意しています!!
席数は多くはないですが、直前でもチケットは残っていて余裕で購入可能です。
そこまで安いと試合も全然見えないのでは??
そう不安に思う方もいるかもしれませんが、国立代々木競技場第二体育館、大田区総合体育館と、休憩時間に3150チケットエリアからの見え方を確認してみましたが、リング全体が良く見えるし思っていたような遠さは感じませんでした。
(写真撮っておけば良かった、、)
特に国立代々木競技場第二体育館は傾斜があって遠くからでも見やすかったです。
個人差はあるかもしれませんが、初めてボクシング観戦をする方であれば「お!?意外と近くない??」
と感じる距離感だと思います。
更に3150FIGHT vol.7では2階自由席も5,000円でした。
今の時代、世界戦のある興行で3,000円、5,000円で買えるチケットがあるなんて有り得ない話です。
ちなみにこれはデメリットでも触れますが、チケットはそんなに売れていないので自由席でも早めに行けば結構良い席に座れますよ。
今後の試合のチケット情報は公式サイトで確認してみてください。
3150FIGHTを会場で観戦するデメリット
続いて3150FIGHT会場観戦のデメリットを紹介します。
今後これらのデメリットにどこまで対処していけるか、亀田興毅ファウンダーの手腕に期待しつつ、一ファンとしても応援していきたい。
とにかく待ち時間が長い、、、
配信との兼ね合いもあるのでしょうが、3150FIGHTは待ち時間が長く、演出も豪華な分テンポも悪い。
3150FIGHT vol.7は13:50に第1試合の入場が始まり、最終試合の判定が出たのは21:10。
最初から観戦していた僕はトータル7時間半程は会場にいたことになります。。
亀田興毅氏も言及していたようにトラブルもあったようですが、花田颯選手の試合が終わってから重岡銀次朗選手の世界戦が始まるまでの間は2時間弱。
自分の周りに座っていた方々もしばらく待っていましたが、途中で席を立ち、そのまま銀次朗選手の世界戦が始まっても帰って来ませんでした。
写真を撮影した時間で確認すると、
- 花田颯選手がTKO負けした際の写真は16:08に撮影。
- 銀次朗選手の1Rが始まったのは17:56。
これだけ間があると、興行の前半で3150エリートの選手達を観にきた観客は一定数は帰っちゃいます。
3150FIGHT vol.5の時もASKAさんのハーフタイムショーは良かったのですが帰りの時間も気になりだし、モヤモヤした気持ちに。
重岡優大選手が勝利した瞬間に勝利者インタビュー聞かずにいそいそとお客さんが帰っていく。
普段の興行でも目にする光景ではありますが、休日昼間からの興行でありながら終了時間が遅過ぎた点もお客さんが急いで帰っていった原因の1つにあったと思います。
3150FIGHT vol.7も重岡兄弟の世界戦が終わったらメインの亀田和毅選手の試合前にお客さんがゾロゾロと帰っていき、メインは会場的には少し寂しかったです。
- 世界戦が終わった時間であればまだ20時台で飲みにも行ける。
- 亀田和毅選手の試合を観たら飲みには行けない。
折角仲間で集まって観戦したのならその後は飲みにも行きたいですよね。
会場観戦組としてはもう少しテンポ良く試合を進めていければ会場のお客さんの離脱も防げたのではないかと思いました。
一方で配信側は過去最高の視聴数を叩き出しています。
長時間化しても配信サイドは離脱する影響はそこまでないのかも。
このバランスは非常に難しい問題。
会場は空席が目立ち意外と盛り上がっていない
会場観戦で感じた課題として、3150FIGHTは会場の集客に苦戦しています。
と言ってもこれは井上尚弥選手や那須川天心選手が出る興行意外の全てに言えることですが。
3150FIGHTも大きな会場で試合をするので空席がかなり目立ち、3150FIGHT vol.7は1番お客さんが入っていた時でも半分くらい空席でした。
1試合目なんてお客さん驚くほど少なかった。
東京初上陸の3150FIGHT vol.5はチケット高かった割に人は入っていましたが、
3150FIGHT vol.5の時はたくさんのジムに招待チケットを配っていた。
という事情もあります。
vol.7ではこの招待チケットを殆ど配らなかったので空席も目立つ形となりました。
お客さん入らないならもっと小さい会場で良いのではないか?
という疑問も沸くところでしょうが、小さな会場だと演出が映えない。
そうすると配信の見栄えもかなり悪くなってしまいます。
大会場でないと証明や大画面モニター等の迫力ある演出が出来ず、配信で視聴していても寂しい感じになってしまうのも事実です。
とはいえ会場ももっとお客さんが入った状態を作れないと。
大会場でも後楽園ホールのような熱狂を味わいたいところ。
ボクシングの観戦チケットは高い
ボクシングの観戦チケットはコロナ禍に価格が跳ね上がりました。
一時期の高騰からはやや落ち着いて来た感じはありますが、観戦チケット1万円をサラッと出せる人はそうはいないですよね。
自分も仮に「舞台鑑賞1万だけどどう?」
と聞かれたら(うーん、、)となります。
職場の同僚複数人に「ボクシング観戦5,000円で行く??」と聞いてみたところ、高いという声が大きかった。
大きな会場で試合をしても、その箱を埋めるほどボクシングに興味があってお金を出せる人を集めるのは難しいんですね。
3150FIGHTの出場選手はチケットの手売りもそこまで本気ではやっていないと思うので、余計にチケットは売れにくいのではないか。
3150FIGHTにとってまず重要なのはABEMAの配信
3150FIGHTはABEMAで無料配信されています。
ABEMAはおそらく3150FIGHTに相当な先行投資をしているはず。
3150FIGHT存続にはABEMAが不可欠で、そのためには視聴数がとっても大事。
会場の集客よりもまずは視聴数。
視聴数優先で考えていくと、
- どの対戦カードが何時頃配信されるか分かっていた方が良い。
- その結果KOがあっても前倒しせずに映像で引っ張る。
- 観たいところから視聴するから長時間の興行になってもそこまで問題ない。
- 何なら長時間化した方が追っかけ再生出来るABEMAプレミアムに誘導出来る。
といった思考になり、配信メインで考えると興行時間を短くするメリットはあまり感じられません。
自宅で視聴していれば試合をやっている時間帯以外は他のことも出来ますし、ABEMAプレミアムに入っていれば追っかけ再生機能を使いながら待機時間はすっ飛ばして視聴していけます。
3150FIGHTの会場観戦と配信共存に向けた方策は?
配信中心で考えると興行を時短化するメリットが少ないと先に述べましたが、出来れば配信であってもサクサク次に進んでくれた方が見ている側からしたら有り難いですよね。。
仮にこれが自分がボクシング程の関心を持っていないイベントだった場合、ABEMAで視聴していて待ち時間が長くテンポが悪かったら飽きてすぐ視聴をやめて別なことに時間を使うと思います。
誰もが知っている有名選手が出るのであれば、その選手が出てくる時間に合わせて視聴します。
その場合は配信時間の目安があると有り難い。
であれば会場を多少待たせても時間調整せざるを得ないでしょう。
しかし3150FIGHTには井上尚弥選手のようなボクシングファン以外にも知られたスター選手はまだいません。
特定の選手に照準を合わせた視聴者を狙うより、興行全体を時短化させ、3時間くらいの枠の中で3150FIGHTを丸ごと楽しんでもらうように出来ないだろうか。
2023年度に僕が会場観戦して1番興奮した神興行は4月26日の”フェニックスバトル99”。
この興行は4大日本タイトルマッチが行われた興行でしたが、
KO連発で17:45に試合が始まり、
20:10には全試合を終えていました。
Leminoの配信はあったのですが、KO決着があっても時間調整せずドンドン次に。
KO決着で大興奮の最中、選手がまだ退場しきっていない状態で次の試合の煽りVが始まるというハイテンポ。
会場内は熱が冷める間が生まれず異様なテンションに。
その会場のテンションに引きずられるように次から次に壮絶なKO決着が生まれ、
最後は絶対王者の宇津木秀選手が仲里周磨選手に倒されるという衝撃のフィナーレが待っていました。
3150FIGHTも時短を意識し、トータルのラウンド数も50R程度に抑え、テンポ良く試合を回していくような興行を試験的にやってみるのも良いかもしれない。
まとめ
演出面では他の追随を許さぬ魅力を持った3150FIGHT。
しかし会場に来る観客は決して多くはなく、待ち時間も長いので最初から最後まで会場で観戦するのは苦痛でもある3150FIGHT。
こうした課題をなぁなぁに放置しないのが亀田興毅ファウンダーです。
そこが他の興行主とは圧倒的に違うのが亀田興毅氏。
だからこそこれまで停滞していたボクシング界に競争が生まれていると感じています。
とはいえ配信と会場のバランスを取るのは難しく、テンポ良く試合を進めたら「そろそろかな?」と思ってABEMAを付けたらもう終わっていた。
なんてことが起きるリスクもあります。
簡単には解決出来ない問題ではありますが、興行自体をもう少し時短化させることは現地観戦組にとっても配信視聴組にとってもメリットは大きいはずです。
3150FIGHTに携わる方々の改善策・アイデアに期待しつつ、また関東で興行が行われる時には会場に足を運びたいと思います。