3150FIGHT SURVAIVAL vol.9が力石選手の対戦相手が入国出来ないというまさかの事態になり、大会前日に延期となった名古屋興行。
SURVAIVALから3150FIGHT vol.8に格上げして仕切り直された興行は当初はマッチルームのミドル級トーナメントがあり、亀田和毅選手のドラミニ選手へのリマッチが予定されるPPV興行でしたがいずれも中止。
呪われた名古屋興行となってしまいましたが、元々が豪華すぎただけで、色々中止になっても世界戦が2つ、ミツロ選手も出場し、日本タイトルマッチもある実は相当豪華な興行です。
果たして3150FIGHT vol.8は敵地ローマで大逆転のKO勝利で世界への挑戦権をゲットした力石選手に続く激アツな興行となるかどうか!?
試合の見どころをお伝えします。
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ライト級8回戦 英豪 VS 竹嶋宏心は新旧緑ジム対決
幻となった3150FIGHT SURVAIVAL vol.9でそれぞれ別の対戦者と戦う予定だった両者。
豊富なアマチュアキャリアがあるとは言え、デビュー2戦目の英豪選手にとっては思い切ったランカーアタック。
LUSH緑ジム期待の新鋭英豪選手はプロテストのスパーリングを力石政法選手と行っています。
それだけジムでの期待も高い選手ということ。
そしてKWORLD3ジムの竹嶋宏心選手も元は緑ジムに所属していた選手。
新旧緑ジム対決となるこの1戦ですが、最近の竹嶋選手は肉体改造の成果が出て、一段上の選手に進化した印象です。
竹嶋選手はちょっと前まで元角海老宝石ジムプロボクサーの木村哲也氏のパーソナルトレーニングで肉体改造に成功。
最近の決定力の高さを見ると竹嶋選手が優勢かなと思う1戦です。
試合結果:2対0の判定で英豪選手勝利
1R目は終盤に英豪選手が右ストレートをクリーンヒットさせはっきりポイントを取る。
序盤は英豪選手の攻勢が目立つ。
特に左フックの当て感が良かった。
しかし3R以降は竹嶋選手の上手さが光る。
中間距離で竹嶋選手がヒットを奪い、クリンチという展開が続く。
ポイント的には竹嶋選手に流れているかと思ったが判定は2者が78対74と差をつけて英豪選手を支持。
会場だとパンチの音の差が出るものなので、微妙なラウンドは英豪選手に流れたものと思われます。
バンタム級6回戦 注目の国体王者森脇龍星がデビュー
KWORLD3ジムからまたしても期待の新星がデビューします。
元国体王者森脇龍星選手の武器はスピード。
2月23日(金)に開催されたBENKEI FIGHTでスパーリングを披露した森脇選手。
スタイル的にはトントン弾んでリズムを取るアマチュアスタイル。
Sフライ級ランカーの岩﨑選手とのスパーリングではまだややパワー不足な印象を持ちましたが、岩﨑選手はランカーですからね。
森脇選手のデビュー戦の相手は16戦9勝(6KO)6敗(4KO)1分、タイ国のパークプーム タウィンラム選手。
戦績はなかなかのものですが、果たして実力はどんなものでしょう。
試合結果:森脇選手の2RTKO勝利
1R目から森脇選手のスピードが光った。
ただ、個人的には上を目指すにはディフェンス面がやや気になり、
パークプーム選手の右を綺麗にもらい顔を跳ね上げられる場面も。
構え、スタイル的に右を合わされやすいかもしれない。
この試合は2Rに返しのフックでダウンを奪い、一気にまとめて仕止めましたが、じっくり育てたい才能だと思いました。
バンタム級ではまだ線が細いのでSフライに落とすか、体を作り上げていくか。
トーナメントの行方は?日本ミドル級タイトルマッチ国本VS可兒
マッチルームのミドル級トーナメントが3150FIGHTから切り離され、単独でミドル級タイトルマッチとして行われることになった1戦。
果たしてマッチルームのミドル級トーナメントは延期なのか、このまま消滅してしまうのか、国本VS可兒がミドル級トーナメントに位置づけられたままなのかどうか。
先行き不透明ではありますが、この試合の見どころについては以下の記事をご覧ください。
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試合結果:可兒健闘も6Rのチャンスを逃さず国本が仕止める
お互いハイガードで頭をつけての接近戦。
先制するのは国本選手だが、可兒選手もしっかりガードしてチャンスに一気にまとめて善戦。
想像以上に可兒選手が善戦しているように見えつつも、国本選手の有効打でダメージの蓄積はあるように見える。
そして迎えた6R、中間距離で国本選手の右ストレートがヒットすると可兒選手バランスを崩しダウン。
このチャンスを逃さす国本選手はパンチをまとめ続け最後はレフェリーストップを呼び込んだ。
ブリッジャー級8回戦 体重を落とした但馬ミツロのパフォーマンスに期待
ヘビー級からWBCが数年前に新設したブリッジャー級に階級を移してリングに上がる但馬ミツロ選手。
プロデビュー当初から比べると20kgほど落としてくることになるでしょうか。
デビュー当初は腰痛もあって走れず、体重を落とすのも困難だったのかもしれません。
KWORLD3ジムでは但馬ミツロ選手にフィジカルのトレーナーをしっかりつけ、腰痛改善から体の強化までしっかり面倒を見てきました。
じっくり体を作ってきた成果がここに来て出てきたということでしょう。
元々但馬ミツロ選手はアマチュアでは重量級ながらスピーディーで華麗なスタイルが売りでした。
ヘビー級ではやや重たすぎないかと感じていたので体重を落としてリングに上がるミツロ選手はかなり楽しみです。
対戦するアレキサンドル ジュール選手は25戦20勝(8KO)5敗(3KO)とキャリアもあって戦績の良い選手。
簡単には倒せないでしょうが、かつてのような華麗なミツロ選手をお目にかかれるのではと期待しています。
試合結果:ミツロが世界ランカーの高い壁に阻まれる
3者が79対72でジュール選手が判定勝利。
1Rは軽快なフットワークからジャブを突いて上々な立ち上がりを見せたミツロ選手。
しかし2Rになると状況は一変。
ジュール選手の左右アッパーがミツロ選手を襲う。
これまで格下の相手に両ガード固めて正面から入っていき強引に倒す試合をしてきたミツロ選手でしたが、ジュール選手にはアッパーで迎え打たれる。
アッパーのダメージで足が止まったミツロ選手にトドメの右アッパー。これでミツロ選手はダウン。
かなりのダメージでしたがここを持ち堪えたミツロ選手。
しかしその後のラウンドも離れてはジャブから肩越しの右をもらい、接近すればアッパーを合わされ何度もダウン寸前に。
正直ミツロ選手が最後まで立って戦い抜いたのは意外でしたし、僕はミツロ選手の諦めない姿に感動しました。
勝手ながらミツロ選手にはどこか脆そうな印象を抱いていましたが、全然違った。
体重落としてスタミナもあったし手数も出ていた。
そして最後まで諦めないハートも見せてくれました。
負けたけれど逆に期待値が上がった一戦。
ここから這い上がって頂点目指してください!!
IBFミニマム級は重岡銀次朗が代役の強敵をどう料理するか?
近い将来ミニマム級の4団体を統一するであろう銀次朗選手が迎え撃つのは頑丈な戦士アルアル アンダレス選手。

バラダレス選手とのバッティング騒動が懐かしい銀次朗選手にまたバッティングの壁が立ちはだかるのか!?
のはずがアンダレス選手が体調不良により試合は中止!!
ピンチヒッターとしてリングに上がるのはアンダレス選手より上位ランカーのジェイク アンパロ選手。
真正ジムの世界チャンピオン候補小林豪己選手に土をつけた実力者。
はっきり言ってアンダレス選手より危険な相手。
銀次朗選手は再び圧倒的な強さを見せつけることが出来るか!?

試合結果:銀次朗得意の左ボディが炸裂
銀次朗選手は右を伸ばしながら慎重に左ボディを狙い、アンパロ選手は飛び込む銀次朗選手に右を合わせる。
アンパロ選手のパンチはキレており、飛び込んだところに一発もらったら危ないかなと思った1R。
しかし2Rにフェイントを織り交ぜながら銀次朗選手が左ボディアッパーをねじ込むと、アンパロ選手はワンテンポ遅れてダウン。
これは効いた。そして立ち上がれず10カウント。
完全にワンツーのタイミングでの踏み込みでまさかの左ボディアッパー。
あれは分からない。絶対にもらいたくないパンチ。
恐るべし重岡銀次朗。。
フェザー級10回戦 亀田和毅がセミで親父のボクシングを披露
ドラミニ選手とのダイレクトリマッチが流れたために急遽メキシコのホープ、ケビン ビジャヌエバ選手と対戦することになった和毅選手。
ドラミニ選手とのダイレクトリマッチは批判も多く、和毅選手には応援されるような試合をして欲しいと思っていたので中止になってくれて良かった気持ちも。
勿論和毅選手本人的には悔しい気持ちが強いでしょうが、この試合で攻撃的なボクシング見せて再浮上して欲しいところです。
ドラミニ選手が挑戦者決定戦に敗れたらそこで改めて再戦するというのもアリですかね。
多少遠回りにはなるでしょうが、体の衰えは一切感じないのでピークはまだ先と思っています。
和毅選手の昔からの最大の課題は実力が拮抗した相手に対して受け身になるところ。
危機察知能力が高いからか、観客的には和毅選手なら一気に行けば持っていけると思う場面で見てしまう。
ドラミニ戦ではその悪いクセがモロに出てしまいました。
長年の染みついた課題なので果たしてこれを克服出来るかどうか。
亀田史郎さんとのコンビで攻撃性を高めていけるか。
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試合結果:前に出る和毅選手が圧倒
1R目開始早々からガードを固めて前に出て攻撃姿勢を見せる和毅選手。
ジャブで顔面を跳ね上げ素早いコンビネーションから左ボディでビジャヌエバ選手を序盤から圧倒。
ボディを効かせてビジャヌエバ選手の頭が下がればアッパーで跳ね上げ、ビジャヌエバ選手のコンビネーションの繋ぎにボディを合わせて高い技術も見せる。
一方的な展開で5Rを終え、6R前にビジャヌエバ選手陣営が棄権。
試合は圧倒したまま終了。ピンチヒッターのビジャヌエバ選手はSバンタムを主戦場としている選手ということもあり、体格面での差も感じました。
対戦相手の変更にも気持ちを切らさず攻撃的なスタイルを見せた亀田和毅選手の次戦も期待しています!
WBCミニマム級は重岡優大VSジェルサレムの強打対決
3150FIGHT vol.8のトリを飾るのは重岡優大選手。

重岡兄弟で先に注目されたのはアマチュア実質無敗の弟銀次朗選手ですが、試合の面白さで言うと優大選手の方が上かも。
体も大きいので今後はLフライ級に上げて戦っていくことも十分可能な選手。
3150FIGHT vol.7の時は重岡兄弟の世界戦後にお客さんがドッと帰ってしまい、メインの和毅選手の試合は会場が寂しかった。
なのでメインが優大選手のこの試合順も個人的には良かったと思っています。
優大選手に挑む挑戦者のメルビン ジェルサエム選手は元王者で危険なパンチを持つ選手。
加えてジェルサレム選手は優大選手の同門谷口将隆選手からベルトを奪った選手。
- 挑戦者は元世界王者。
- 倒すか倒されるかというスリリングあり。
- 谷口選手のリベンジマッチでもある。
- ついでにジェルサレム選手の憧れのボクサーは高山勝成。
という色々注目のこの1戦。
この試合がメインならメイン前に帰る会場のお客さんもいないでしょう。
試合結果:優大陥落!!ジェルサレムの右が炸裂
試合は2対1の判定でジェルサレム選手の勝利。
初回からボディで優大選手を下がらせ、パンチをまとめて見せ場を作るジェルサレム選手。
3Rには優大選手が左ボディで踏み込んだところに右を合わせてダウンを先取。
互角の展開ながら要所要所スピードで勝るジェルサレム選手のパンチが先に当たる。
6Rにも再びジェルサレム選手の右がタイミングよく入り優大選手はダウン。
さすが谷口選手を倒したジェルサレム選手。
優大選手は終盤にやや失速したジェルサレム選手を攻めるが、ポイントで優位なジェルサレム選手は捨てラウンドを作って明確にポイントを取りに行くラウンドを作り序盤のリードを守り切った。
どっしり強打を打つ優大選手と切れ味勝負のジェルサレム選手とでスピードの差を感じた一戦でした。
負けたのは残念ですが、メインにこういう世界戦があるのは次への楽しみも増して良いこと。
体の大きい優大選手は階級アップするか、再びミニマムで勝負するのか。
銀次朗VSジェルサレムで兄の敵の統一戦も盛り上がるでしょう。
まとめ:vol.8は配信も会場も盛り上がる神興行を期待
ミドル級トーナメントがなくなり、PPVも中止された3150FIGHT vol.8。
ABEMAからの返金の案内メールを見て寂しさとなんとも言えぬ悔しさを抱きました。
しかし繰り返しになりますが元々の興行自体が豪華過ぎただけ。
おそらく当初の試合数を会場で観戦した場合、最初から最後まで観ていたら身も心もボロボロになっていたでしょう。
試合数的には適切な数になりましたので、後は配信と会場観戦のバランスをいかに取っていくか。
配信に配慮して間伸びした興行になると会場の熱が下がって試合も単調になりがち。
テンポ良く会場の熱が冷めないように試合を進めていくと、会場のボルテージも上がって神興行となりやすい。
しかしテンポがあまりに早いと視聴タイミングを逃す人も出てくる。
このバランスは本当に難しいですが、思い切ってもっとテンポアップした興行にしてみるのも一案だと思っています。
3150FIGHT vol.8が名古屋の会場で観戦するお客さん達の心を満たす興行となることを期待しています!!