こんにちはボクシングブロガーのtorajiroです。
後楽園ホールでボクシング観戦をしていると、時々良く通る声で声援を送る坊主頭にバンダナを巻くか帽子をかぶったおじさんに遭遇することはないでしょうか?
その方のお名前は青山次郎さん。
ミドル級のランキング1位まで登り詰めたれっきとした元プロボクサーです。
この次郎さんですが、選手への独特の声援に加えて特徴的なのがラウンドガールへの熱の入れよう。
インターバル中にラウンドガールの名前を叫び、
「◯◯ちゃんって言います!皆さんも名前呼んであげてください!」
とホールのお客さんに呼びかける姿はさながら(見たまんま)ただの変態オヤジと思っている方もおられるかもしれません。
が、こうして次郎さんがラウンドガールさんを応援するのには実は深イイ理由が。
次郎さんが語ってくださったエピソードが心に刺さったので聞いてください。
そもそも次郎さんって何者?という方に
冒頭でも軽く触れましたが、後楽園ホールの名物おじさん青山次郎さんは立派な元プロボクサーです。
戦績は22戦15勝(4KO)6敗1分。
ミドル級の全日本新人王。
日本タイトルにはあと一歩届かなかったものの、最高位は日本ミドル級ランキング1位。
元チャンピオンの保住直孝選手とも引き分けた事があります。
青山 次郎(Jiro Aoyama)戦績(ボクシング選手名鑑)
更に現役時代はこの通りの男前↓
今の次郎さんを知るボクシングファンにとっては少々驚きの現役時代の実績とルックスですね。
竹原慎二さんのスパーリングパートナーだった次郎さんの逸話
現役時代の次郎さんはミドル級という国内では選手の少ない階級を戦場としており、あの竹原慎二さんのスパーリングパートナーも務めておりました。
いまだに竹原テレビでヤンチャな若者達を葬り去っている竹原さんの現役時代です。
現役時代の竹原さんのスパーはそれはそれは凄かったという噂は色々と聞いたことがあります。
次郎さんはこの竹原さんとのスパーリングでパンチをもらい、記憶が飛んでしまったことが。
現場にいた方の話によると、スパーリングが終わっているのに「自分今からですよね!?」とスパーリングの準備をしようとしてたとか。
噂の真偽を次郎さんに確認したところ、その時の状況を詳しく語ってくれました。
噂は真実で、竹原さんがいかに強かったかが良く分かりました。
危険なので竹原さんにケンカを売るのは止めましょうね。
次郎さん流のラウンドガールへの献身
先日後楽園ホールで試合観戦をしていた際に近くの席に座っていた次郎さんが突如席を立ち、ラウンドガールの元へ。
何やらラウンドガールの方々と話をし、インターバルでラウンドガールがリングに上がるとお客さんにラウンドガールの名前を紹介。
話をしていたのはラウンドガールさんの名前を確認するためでした。
驚きの献身っぷり。。
一体何が次郎さんをそこまでの行動に駆り立てているのか疑問でならない。
次郎さんがラウンドガールの名前を叫ぶ深い理由
何故そこまでラウンドガールを応援するのか??
ラウンドガールへの献身に驚く僕に次郎さんがこんな話をしてくださいました。
「ラウンドガールは試合を面白くしてくれるんです。」
確かに華やかになりますねと相槌を打つ僕に、
「選手はラウンドガールを見てるんです!あの人達が選手達に力を与えているんです。」と語る次郎さん。
一瞬ビンス・パラス選手がチラつきましたが、そんな余裕あるかね??
と懐疑的な僕に次郎さんが話を続けます。
- 現役時代に1Rにいきなり良いパンチをもらってダウンしちゃったことがあったんですよ。
- その試合のインターバル中にラウンドガールさんが(頑張ってください)って小さな声で言ってくれたんですね。
- その言葉に力をもらい、頑張ったら逆転出来たんですよ。あの試合はラウンドガールさんがいたから逆転出来たんです。
良い話だなと聞いている僕に更に次郎さんが続けます。
- 頑張ってと言ってくれたラウンドガールさんは自分が良く名前を呼んでいた子で、それがきっかけでラウンドガールとして呼ばれることが増えるようになったんです。
- そんな恩をどこかで感じてくれていたんじゃないかな。
- だからあの時頑張ってくださいと言ってくれたんだと思う。
応援したラウンドガールさんの活躍の場が増え、自分のピンチに助けてくれた。
次郎さんの現役時代まで遡った教訓の詰まった素敵なエピソードでした。
頭の中に若かりし日の次郎さんを主人公としたショートムービーが駆け巡りました。
まとめ
後楽園ホールでいつも大きな声援を送る次郎さん。
時には「うるさい!」と文句を言われて肩を落としていることもある次郎さん。
それでもめげずに試合中は選手に声援を送り、インターバル中はラウンドガールの名前を叫ぶ次郎さん。
ラウンドガールを応援し、応援したラウンドガールに助けられた現役時代の次郎さん。
その体験が今も次郎さんの背中を押しているのでしょう。
- 後楽園ホールの名物おじさん。
- ホールの怪人次郎さん。
- 女子ボクシングだとテンション3割増しの次郎さん。
- ラウンドガールへの熱量が異常な次郎さん。
- 声援がうるさいと文句を言われてしょげる次郎さん。
後楽園ホールの名物客として色々言われながらもインパクトを残し続ける次郎さん。
いつか自分もあんな風になりたいと思いつつも、あそこまではなりきれないと思うもう一人の自分の比重が今は大きい。
一緒に試合観戦をしていた次郎さんに「今日はガラケーで来ちゃったから後でラウンドガールさんとの写真を撮ってくれないか?」
そう頼まれた僕は「え、嫌ですよ。」と即答してしまいました。
一線を越えられない自分とそもそもその一線が存在しない次郎さん。
自分がハードルだと感じているものを易々と超えていく元ボクサーの方々が僕にはとても輝いて見えます。
いつか自分も歳を重ね、色んな羞恥心が無くなった時、後楽園ホールの客席から「ももちゃーん!!」とかラウンドガールさんの名前を叫べるようなじいさんになりたい。