2024年東日本新人王トーナメントSバンタム級の注目選手を紹介します。
再起に賭ける期待のルーキーから何かやってくれそうなオールドルーキー、3度目の挑戦者とストーリー性のある選手が揃いました。
2階級アップの阿部一力はフィジカルの差を懸念
2023年にSフライ級でエントリーしていた大橋ジムの阿部一力選手が2階級アップしてSバンタム級に登場。
2023年は準決勝で吉成亮人選手のガッチリガードからの接近戦に体力を削られ敗北。
フィジカルと体力の差がでた試合でした。
そこから2階級アップしてSバンタム級にエントリーした阿部一力選手。
減量苦からは解放されるでしょうが、Sフライ級でもそれほど大きさは感じなかった阿部一力選手がSバンタム級で果たして通用するのか??
スピードどフットワークを活かしたボクシングを展開するのでしょうが、2階級の壁を乗り越えられるようにはちょっと思えません。
自力はあるので優勝候補の一人ではありますが、階級アップがどうしても気になる。
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オールドルーキー八谷洋平のパンチ力
今大会の台風の目になるかも知れないのがRK蒲田ジムの35歳オールドルーキー八谷洋平選手。
パッと見は強さを感じず、遅咲きのガムシャラに手を出すスタイルを想像していました。
が、試合を見て評価は一変。
上半身のムキムキ具合はないものの下半身がとても強く、体重の乗った素晴らしいボデイジャブを打つ。
デビュー戦ではこのジャブでダウンを先取し、最後はフックで仕留めて1RTKO勝利。
2戦目も3戦3勝2KOの菅谷翔太選手相手に1,2Rに左ストレートでダウンを奪い3Rにも左からの右フックでグラつかせての完勝。
30過ぎてプロになる選手はフィジカルの弱さで負けてしまうパターンが往々にしてありますが、八谷選手の下半身の力は相当なもの(下ネタではなく、、)。
菅谷選手との試合は最終ラウンドは後手に回っていてスタミナ面は多少心配ですが、阿部一力選手相手に八谷選手の腰の入ったパンチがどこまで通用するか楽しみ。
RK蒲田ジムは奈良井選手を筆頭に、2023年の新人王トーナメントを盛り上げた牧田選手にこの八谷選手と殺傷能力の高いボクサーが多い気がします。
3度目の正直なるか背水のアグレッシブガイ橋場大樹
2022年は東を制した廣瀬選手に敗北。
2023年は優勝候補だった山川選手に敗北。
2024年は背水の陣で1階級落として勝負に出る橋場大樹選手。
橋場選手は宮田ジムイズム全開の好戦的なスタイルながらクネクネした独特の距離感がありやりづらい選手。
あのやりづらさをもう少し活かせば一皮むけそうな選手であります。
パンチもあって倒すか倒されるかというボクシングは後楽園ホールを盛り上げてくれますが、せっかく1階級落とすので距離感という武器を最大限発揮して欲しくもあります。
トーナメント初戦でぶつかる渡嘉敷ジムの三浦凪飛選手は3戦3勝3KOのパーフェクトレコード。
ボクシングはかなり荒々しくノーガードで飛び込んでくるパンチは怖いが倒すチャンスも十分。
KO決着間違いなしの面白い試合になるでしょう。
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花形ジム期待の新星矢野円来
花形ジムの矢野円来選手はフットワークとスピードが武器の選手。
まだ少し自分のスピードをコントロール出来ていないように見えますが、相手の動きに合わせたボクシングが出来るようになれば一気に化けるポテンシャルを持っています。
試合中の木村トレーナーの指示がとても的確で客席の自分も勉強になっています。
トレーナーもしっかり選手の特徴を把握して的確な指示を出しており、課題を修正しながら伸びてくる選手だと思います。
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今淵啓輔からバトンを受けた佐藤和輝
ボクサー定年を迎える今淵啓輔選手のラストファイトを務めた佐藤和輝選手。
今淵選手の15戦目での初勝利を阻止した佐藤選手は「あと18年頑張ってね」と今淵選手からバトンを託されました。
バトンを託された佐藤選手は現在3戦3勝。
まだKO勝利はないものの、全ての試合でダウンを奪う盤石なボクシングで勝ち続けています。
若いながら穴がなく、変なクセもない好選手です。
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優勝争いは横一線のSバンタム級
2024年の東日本Sバンタム級は突出した選手はおらず横一線。
- 阿部一力の2階級アップの再起が吉と出るか?
- オールドルーキー八谷洋平が波乱を起こすか?
- 背水のアグレッシブ橋場大樹VS三浦凪飛はKO必至。
- 花形ジムの新星矢野円来のフットワーク。
- 今淵啓輔からバトンを受けた佐藤和輝の安定感。
誰が勝ち上がってもおかしくない激戦区のSバンタム級。
個人的にはオールドルーキー八谷洋平選手が気になってしまいますね。
ルーキー阿部一力 VS オールドルーキー八谷洋平がダウンありの大激闘!!
阿部一力選手VS八谷洋平選手の一戦は期待以上の大激闘。
八谷選手は遠い間合いから左を当てれば、阿部選手がワンツーからロープに詰めてボディ攻撃。
やや阿部選手優勢の中、2Rに八谷選手が放った左で阿部選手がダウン!!
3R序盤も八谷選手のノーモーションの左や飛び込む左、そこからの返しのフックがヒットしていましたが、阿部選手が巻き返してペースを戻して逆転。
2階級アップでフィジカルアップした阿部一力選手の馬力に八谷選手も最終Rは失速。
結果は阿部選手の勝利でしたが男を上げた八谷洋平選手でした。
熱い試合だった!!
矢野円来覚醒!!成長著しい佐藤和輝を倒す
矢野円来VS佐藤和輝の一戦はスタートから佐藤選手のジャブが良かった。
1R終盤にはこのジャブで矢野選手が首を振り嫌がる表情を見せる。
このチャンスに右カウンターを決めて佐藤選手がダウンを先取。
しかしこの日の矢野選手はフットワークとスピードに加え、右のお尻にしっかりと体重が乗っており、パンチの力強さと回転力が目に見えて上がっていた。
2Rには右左右と回転力良く繰り出したパンチでダウンを奪い返し、3Rにもバックステップからの右カウンターでダウンを追加。
その後も攻勢を強めてレフェリーが3Rに試合をストップ。
脱力した上体、チャンスに一気に攻め込む回転力、抜群のカウンターはいずれも素晴らしかった。
覚醒した感のある矢野円来。
これは優勝するかも分からん。
準決勝で阿部一力はやや苦戦!覚醒の矢野円来は倒し合いの激闘!!
9/19の東日本新人王準決勝で優勝候補の一人阿部一力選手は”背水のアグレッシブガイ”橋場大樹選手と対戦。
2年連続新人王トーナメントで大橋ジム期待の若手と対戦の橋場選手。
序盤は橋場選手が持ち前の間合いで阿部一力選手の攻撃を回避しつつ左ストレートをヒット。
しかし徐々に阿部選手が距離をアジャストさせてヒットを重ね、最終回は橋場選手をダウン寸前まで追い込む。
判定は2対0で阿部選手に軍配が上がりました。
橋場選手は良い味を出した。ディフェンス面がもう少し改善されれば。。
9/20の準決勝は覚醒中の矢野円来選手とトーナメントを3勝2KOで勝ち上がってきた小稲直史選手が対戦。
両選手共にトーナメントの過程でどんどんと強くなった選手。
試合はスタートから大荒れ、矢野選手は上体は脱力し、下半身はどっしり、大地の力を拳に乗せた回転力のあるパンチを振る。
右を投げて左を振るって、この左フックでいきなりダウンを奪った矢野選手はそこから猛ラッシュ。
しかしここを耐えた小稲選手が大振りになった矢野選手に左を合わせてダウンを奪い返す。
1Rで体力を使い果たしたかと思った矢野選手は2R以降も上手に休む場面を作りながら元気にパンチを投げる。
小稲選手もしっかりと基本に忠実に上下に打ち分ける。
ラウンドが進んでも矢野選手のぶん投げるパンチは止まらない。
腕の力でなく下半身、体幹の動きでパンチを出すので疲れても手を出せるのでしょう。
むしろ疲れた時こそ脱力から良いパンチを出せるタイプ。
そして4Rにもらいながらも再度左右を振るってダメージを与えたところでレフェリーが試合をストップ。
どちらが倒れてもおかしくない、これぞ新人王!!という好勝負でした。