オール4回戦大好きブロガーのtorajiroです。
先日観戦してきたDANGANオール4回戦2023 vol.1はコンパクトながら見どころの多い魅力的な興行となりました。
注目ポイント
- JCLはアマだけどちょっと違う
- 才能溢れるホープ達
- 定年を迎えるボクサー
- ちょっとしたハプニング
- 深刻なダメージ
- 一皮剥けた選手
といった注目ポイントを観戦記形式にて各試合紹介していきます。
4回戦ボクシングの魅力が少しでも伝われば幸いです。
JCLテストマッチ:アトム級3回戦 箕輪 湧陽(REBOOT.IBA) VS 甲斐 龍斗(T&T)
ジュニアチャンピオンズリーグ(JCL)はJBC主催のジュニア対象のアマチュア形式の大会。
これまでJCLを観たことがなかったので良い機会となりました。
アマチュア形式とは言え、ルールはプロに近かったです。
試合は身長で勝る甲斐選手が序盤から優勢で右カウンターが光っていました。
この右で1R目に箕輪選手からダウンを奪い、終始優勢に試合を運びました。
箕輪選手も体格面では劣っていましたが、手数で挽回しようと最後まで意地を見せました。
アマならもっと早い段階でスタンディングダウン取ってRSCだろうなと思う場面もダウンカウントはなく。
「ジュニアだしもう少し早めに止めても良いのかな?」
と思うところもありましたが、普段プロの試合を捌いているレフェリーがいきなり基準を変えるのも難しいでしょうね。
逆にプロの試合に影響が出てしまいそうだし、そこは人間が対応出来る範囲の限界を超えているかな。
レフェリー批判の声は良く聞きますが、実際やってみたらレフェリーの方々の咄嗟の判断が如何に神業か、よーく分かると思います。
JCLテストマッチ:77.0kg契約3回戦 デ・ソウザ・マルセル(REBOOT.IBA) VS 佐々木 革(八王子中屋)
2023年1月の試合でOPBF,WBOアジアパシフィック王者の豊嶋亮太選手を破った人気者ボクサー佐々木尽選手の弟、佐々木革(カク)選手がJCLに登場。
序盤はマルセル選手が遠い距離から手数で優っているように見えましたが、革選手はガッチリガードを固めて距離を詰め、安定した下半身から強烈な左右フックを強振して対抗。
段々とペースが革選手に流れていき、3Rにボディで動きを止めてからの右フックでスタンディングダウンをゲット。
このまま判定勝利を収めた革選手。
お兄さん同様にフィジカルが強く、どこか愛嬌があってプロになったら人気が出そうな選手でした。
女子アトム級4回戦 ハンバーグ・ヒロコ(パンチアウト) VS 安部エミリー(花形)
おもしろリングネームのハンバーグ・ヒロコ選手。
以前のリングネームはハンバーグ・あまこでした。
あまこ→ヒロコ
変更の経緯が気になります。
対するは前回の試合で初勝利を手にした安部エミリー選手。
前回の試合は良いジャブがあるのにそれが活かせていないと感じた選手でした。
試合は甲乙付け難い内容でしたが、ハンバーグ・ヒロコ選手がマッチョな体から繰り出す有効打がやや優勢でした。
安部選手はセコンドの指示通り頭を左に倒す動きは良かったですが、リーチのあるジャブがもっと活かせる気がしました。
フェザー級4回戦 佐藤 和輝(FLARE山上) VS 今淵 啓輔(石神井S)
18歳デビュー戦の佐藤和輝選手。
36歳これが定年引退試合の今淵啓輔選手。
対照的な両者の一戦は定年引退ボクサーのラストファイト記事に残しましたのでそちらを是非ご覧ください。
>>2022年度に定年を迎えるプロボクサー達のラストファイト
- 18歳差。
- 相手は14戦して未勝利。
- これがラストファイト。
デビュー戦でこの条件はとてもやりづらかったと思いますが、そんな素振りは微塵も感じさせない佐藤選手の若々しさも好印象な試合でした。
結果は2Rにダウンを奪った佐藤選手の判定勝利も激アツな展開でした。
試合後に今淵選手から「あと18年頑張ってね」とバトンと託された佐藤選手の今後に期待!!
女子51.5kg契約4回戦 岡田 萌子(EBISU) VS 天羽 萌子(花形)
世にも珍しい萌子対決。
セコンドが「もえこ!!」と指示を出しても「え!?どっちの!?」
となりそうな試合。
岡田選手の前回の試合は強靭なフィジカルを持った三迫ジムの福家選手に敗れており、そこからの再起戦。
試合は岡田選手がスタートダッシュで先制。
天羽選手は先制攻撃をくらい後手に回ってしまう。
岡田選手の攻撃のテンポが少しずつ天羽選手を上回る展開。
と、ここで試合途中にちょっとしたアクシデント。
「エクステ?付け毛?が取れた?」
岡田選手のものと思われる付け毛のようなものがリングに落ち、試合が進む中で髪が乱れて一時中断。
昔のカツラボクサーのカツラが殴られて浮いた場面をちょっと思い出しました。
岡田選手のスタミナが切れて天羽選手が追い上げてきていた展開だっただけに、
花形ジムサイドからも「早く始めたいな」という声が。
EBISUジム陣営も髪を結える事に慣れていないのか、若干対応に困っているように見えました。
試合は岡田選手が序盤からのリードをキープしての判定勝利でした。
Sバンタム級4回戦 中林 稜太郎(ワタナベ) VS 渡辺 和幸(上滝)
2022年の東日本新人王トーナメントで準決勝まで進んだ接近戦ファイター中林選手の再起戦。
>>2022新人王Sバンタム級は西部の進心輝が全国区となるか?東西は横一線。
対する渡辺選手も2連敗中。
スタートからいつものように前に出た中林選手。
しかし打ち合いの中で渡辺選手の右が中林選手をとらえる。
足が痙攣している中林選手は連打をまとめられダウン。
立ち上がるものの足がかなり痙攣しており危険な状態。
渡辺選手は細かいパンチを打ち続け、レフェリーが試合をストップ。
2勝5敗3分と負け越していた渡辺選手が見事な勝利を収め、
「たまには勝ちます!!」
と大きな声で喜びを爆発。
中林選手は相手の体力を削ってからの得意の後半に持ち込む前に終わってしまいました。
心配だったのは試合後のダメージ。
ストップ後も足の痙攣が止まらず、しばらくコーナーに座って立ち上がれない状態。
一応まだ声援禁止の後楽園ホールでしたが、コーナーから立ち上がった姿に思わず「頑張れ!」と声援を送ってしまいました。
Sバンタム級4回戦 為我井 廉(DANGAN越谷) VS 網野 翔(石神井S)
センスが光るボクサーを発見。
この日デビューを迎えた為我井廉。
もしゃもしゃ頭にはにかんだ笑顔。
試合前とは思えないリラックスムードでリングインした為我井選手。
試合中もサウスポースタイルから前後左右に軽快なリズムでリラックスして動き回る。
センスを感じさせるには十分の動きを披露。
一方の網野選手もサウスポー対策をしっかりと積んでリングに上がった事が分かる戦略的なボクシング。
為我井選手のガードが下がったところにしっかりと右を打ち込み主導権を握らせない。
為我井選手の天性の動きと網野選手の戦術。
ポイントは為我井選手がピックアップしていきましたが、為我井選手も思ったようなボクシングが出来ないと感じていたでしょう。
網野選手はこれでデビュー2連敗となりましたが実力はあるのでまた次頑張って欲しい。
ライト級4回戦 川本 響生(鉄拳8) VS 倉持 廉汰(本望)
2022年東日本新人王トーナメントにSバンタム級で出場していたはずの川本選手がまさかのライト級で登場。
新人王トーナメントは予選で今回同じ興行に出場している中林選手の接近戦に体力を削られての引き分け敗者扱いでした。
「フットワークとジャブは良いけれど、ストレートがもう一歩?」
そんな印象の川本選手でしたが、この試合で階級を大幅に上げて化けました。
得意のフットワークも無駄が無くなり、左からしっかりと突き刺す右に繋げ、時折メイウェザーディフェンスで会場を沸かせました。
これが4戦目の川本選手に対して倉持選手は2戦目。
デビュー2戦目の相手が川本選手というのはちょいと厳しかったでしょうか。
長身からのワンツーをヒットさせる場面もありましたが、川本選手のスピードに対応しようと、撃ち抜くのではなくスピードに合わせるパンチになっていた感はありました。
振り付けが分からないダンスについて行こうとするような動きと言ったら良いでしょうか。
倉持選手は今回早いスピードと上手さに対応し切れなかったですが、あの長身からどっしりと打ち下ろすパンチを打つようになったら脅威です。
まとめ
中止の試合もあり興行自体は早めに終わったDANGANオール4回戦2023 vol.1。
時間は短かったですがコンパクトに凝縮されており、これくらいの試合数も悪くないなと感じました。
- デビュー前の期待のホープ達をJCLで。
- 2分でテンポが早い女子ボクシング。
- 年齢差ダブルスコアのデビュー戦VS引退試合。
- ダメージの大きい試合。
- 天才のテクニックVS戦術。
- 化けた選手にこれから化けそうな選手。
各試合にそれぞれ見どころが詰まった興行でした。
会場で見る迫力には敵いませんが、この日の試合はBOXING RAISEで視聴可能です。
月額980円ですが、マニアックなボクシングファンには有益なコンテンツです。
この日戦った選手達がまたリングに上がった時にはどれだけ成長しているか。
4回戦から見ている選手がどんどんと進化を遂げていく過程を応援するのもまた楽しみの一つです。
網野翔選手はデビュー2連敗になりましたがプロで勝てる実力は十分ありますので再起に期待しています。