こんにちは。新人王トーナメントが大好きなボクシングブロガーのtorajiroです。
2023年度の東日本新人王Lフライ級は出場選手6名と全階級で最小人数。
この中で優勝候補を挙げるとしたら高校アマでジュニアのランキングにも入っていた横浜光ジム所属の早坂峻選手でしょう。
しかし新人王は何が起こるか分からない!!
何かを起こしてくれるかも知れない他の出場選手達も含めたLフライ級の全選手の特徴を紹介します。
優勝候補早坂峻はプロ向きのスタイル
伊藤雅雪、松永宏信、赤穂亮と看板選手が相次いで引退している一方、若手選手の台頭も目を惹く横浜光ジム。
2022年の新人王トーナメントでは時吉樹選手がミドル級を制し、服部凌河選手が東日本を制しました。
>>2022全日本新人王決定戦の展望勝敗予想・結果〜注目度は東軍も実力者揃いの西軍
その横浜光ジムから高校アマチュアで22戦14勝(1KO)8敗というキャリアを積んでプロデビューする早坂峻選手。
早坂峻選手はボクシングで有名な武相高校出身。
高校アマチュアからプロに転向し、フィジカル負けして思うように勝てない選手もいますが、早坂選手の場合はガードをしっかり上げてグイグイ前に出てボディから崩していくプロ向きのスタイル。
すぐにプロのリングに順応するでしょうし、元々ガードも良いので一発もらって倒れる印象もなし。
この選手を崩すのは簡単ではないかもしれない。
早坂峻選手デビュー戦はダウンを喫するも僅差の判定勝ち
注目の早坂選手デビュー戦はプロで8戦して3勝している岩井祥來選手と。
1R目はプロのリングでやや距離感に戸惑っている様子。
一方の岩井選手はガードを下げたハメドっぽいスタイルからスイッチを織り混ぜながらリラックス。
1R目は甲乙つけ難いラウンドでしたが、2Rに早坂選手の右ストレートが岩井選手をとらえ、更に右からの返しの左フックで岩井選手の腰を落とす。
3R目も早坂選手が押せ押せ。
このまま一気に押し切るかと思った最終ラウンド、岩井選手が足を入れ替えて放った左がジャストミート!!
起死回生のダウンを奪った岩井選手。
ダメージの残る早坂選手。
しかし岩井選手も最後仕留めるまでは至らず判定は2対1のスプリットデシジョンで早坂選手の勝利。
いくらアマチュアでキャリアがあってもプロのデビュー戦は違いますね。
早坂選手は新人王トーナメント前に1戦やれて良かったと思います。
押せ押せで前に出過ぎた点を次戦では修正してくるでしょう。
準決勝は添田颯斗にパンチの精度で勝る
東日本新人王トーナメント準決勝はワタナベジムの添田颯斗選手と対戦し、2対0の判定で勝利。
ジャッジの1者はドローとしましたが、1者はフルマークで早坂選手を支持。
接近戦の多い試合でしたが、左ボディや左右アッパー等、接近戦の中で効果的な有効打を当てていたのは早坂選手。
早坂選手サイドで見たら「ドローってことはないだろ、、」
という内容でしたが、添田選手の頑張りが光った試合であったのも事実。
決定力という面では課題の残った試合でした。
決勝では高い攻撃力を誇る一方でディフェンス面の課題もある磯金選手と対戦。
磯金選手のパンチは見栄えが良いので、如何にもらわずコツコツパンチをまとめていけるか。
デビュー5戦勝ち星のないのが不思議な添田颯斗
ワタナベジム所属の添田颯斗選手の戦績は2敗3分。
5戦して勝ち星なし。
なのですがこの選手は決して弱くはありません。
長身で足も使える綺麗なボクシングで打ち合いも出来る。
課題を上げるとすればスピードとパワーにやや欠けて決定力がない部分でしょうか。
引き分けが3つあるのもそこが要因かなという印象です。
ただ、そうした課題は強いて言えば。
この選手が5戦して勝ち星なしというのは不思議ではあります。
4回戦のレベルも上がりましたね。
昔はもっとピンキリでした。
添田颯斗選手は6戦目にして念願の初勝利!!
添田選手はトーナメント初戦で筋肉パンチの髙橋梨王選手に1Rにダウンを奪われながら逆転の判定勝利。
開始早々に右フックでダウンを奪われ、その後も髙橋選手の猛攻にフラつく場面も。
しかしそこから2Rになると打ち疲れた髙橋選手に対して足を使い、リーチの差を活かしながらジャブで組み立てて右を効果的にヒット。
髙橋選手のジャブに右を被せたり、自分からジャブを突いてインサイドにストレートを打ち込んだり。
勝ち星がないのが不思議で不思議で仕方なかった添田選手が序盤の大ピンチを乗り越えてついに勝利。
優勝候補の早坂選手との一戦にコマを進めました。
添田選手は早坂選手相手に大善戦
髙橋梨王選手との試合で後半に追い上げた添田選手は優勝候補の早坂選手との試合でも最後の最後まで手数を止めず、大健闘を見せました。
有効打的には早坂選手が明らかに勝っていましたが、添田選手の気持ちと手数に心動かされた?ジャッジ1者はドローの採点をする程の検討でした。
Lフライ級の中では長身で細身の添田選手ですが、根性あってハートの強い選手だということが良く分かりました。
戦績は7戦1勝3敗3分となりましたが、これからどんどん勝ち続けて行くでしょう。
爆弾筋肉髙橋梨王のマッチョな強打
Lフライ級の選手の中で個人的に一番注目しているのはこの髙橋梨王選手。
- 北斗の拳にでも出てきそうなイカツイ名前。
- ポーカーフェイスで淡々とした話し口。
- 修斗のリングにも上がっていた。
- 上半身の筋肉が凄い凄い。
どこか独特で自分の世界感を持った選手というイメージです。
勝手な印象ですが、学校の先生からしたらちょっと扱いづらい生徒という感じ(あくまで私的な印象です)。
髙橋梨王選手の魅力はマッチョな肉体から繰り出される「ゴチン、ゴチン」と音が響いてきそうな硬いパンチ。
キレで倒すタイプではないので意識は刈り取られないけれど、もらうと痛い。
ノソノソと歩いて近づき、マッチョな体で相手を殴る野生味を感じるボクシングスタイルはとっても魅力的です。
昔と比べると綺麗なスタイルのボクサーが増えましたが、こういう選手がいてくれるとスパイスになって飽きずに観戦出来ます。
筋肉パンチ大当たりもスタミナ消耗で逆転負け
個人的にお気に入りのボクシングスタイルの髙橋選手はトーナメント初戦、ダウンを奪うも逆転負け。
1R目は右フックでダウンを奪い、その後もラッシュでフラつかせる場面を何度か作る。
しかし上半身の筋力で振り回すパンチはスタミナの消耗が激しく、疲れると手が出なくなるという弱点もあり、2R以降は見栄えの悪いパンチをコツコツをもらいポイントで逆転されてしまいました。
腰の回転で打つパンチはスタミナが切れても体を振れば手が付いてきますが、腕力で打つパンチは疲れると手が上がらなくなり、手数が出なくなります。
これは体の使い方の違いなので練習量云々の問題でも無いですね。
髙橋選手が一皮剥けるためには下半身の力を上半身に伝えるトレーニングを取り入れたら良いのかなと思いましたが、今の腕力で勝負するボクシングも個人的には好きです。
昔懐かし角海老ファイター矢作海
続いて紹介するのは角海老宝石ジム所属の矢作海選手。
昔は叩き上げボクサーの多いイメージの強かった角海老も最近はアマチュアキャリア豊富な選手中心の構成に。
そんな中において叩き上げ枠で頑張っている選手の一人が矢作選手。
トレーナーの田島孝介氏は元全日本新人王でランキング2位まで行った関豪介氏らファイタースタイルの選手を多く輩出してきたベテラントレーナーです。
ちょっと話は逸れますが関君のカレー屋さんはとっても美味しい↓
>>元日本フェザー級2位 関豪介のカレーのフルコース !東向島の「サハスラーラ」(進撃のボクヲタより)
矢作選手のボクシングスタイルは前に出て接近戦で休みなく手数を出すファイタースタイル。
矢作選手のボクシングを見ていると自分がボクシングをやっていた時代を思い出します。
同じようなスタイルの選手と良くスパーリングをしていたからかも。
攻撃力は文句なし!ディフェンス次第の磯金龍
大橋ジムの磯金龍選手は長身のサウスポーで攻撃力が非常に高い。
デビュー戦の1Rを見た時は「大橋ジムからまた良い選手が出てきたな」と思いましたが、高い攻撃力と裏腹にガードが低い。
デビュー戦は相打ちの中でカウンターを合わされてダウンを喫して判定負け。
思いきりパンチを振る分、カウンターで受けるダメージも人一倍なデビュー戦でした。
>>ミニマム級4回戦 玉城野里斗(沖縄WR) VS 磯金龍(大橋)
今回はデビュー戦のミニマム級から1階級上げたLフライ級。
デビュー戦からいかにディフェンス力を上げて来れるかに注目です。
磯金龍は攻撃力を活かして矢作海をTKO
デビュー戦はディフェンス面で課題を残した磯金選手ですが、2戦目は前に出る矢作選手に得意の攻撃力を活かして左ストレートで2Rにダウンを奪い、3Rに今度はフックで倒してTKO勝利。
ディフェンスの課題が改善されたのかはまだ何とも言えませんが、攻撃力が魅力だという点は良く分かりました。
準決勝は杉本愛弥が棄権
磯金選手の準決勝の相手はヴェールに包まれたボクサー杉本愛弥選手でしたが、杉本選手が棄権。
戦わずして磯金選手は決勝に進出することになりました。
矢作選手との1戦では攻撃力を活かせましたが、ディフェンス面の課題が決勝ではどう出てくるでしょうか!?
アマ25戦20勝杉本愛弥
最後に紹介するのは木更津グリーンベイからプロデビュー予定の今年で21歳の杉本愛弥(スギモトマナカ)選手。
アマ25戦20勝という戦績は凄い。
ただこの選手はまだデビューしていない上に情報が乏しいのでどんなボクサーなのかはっきりしたところは分かりません。
高校時代にアマチュアでランキングに入っていたようですが、高校卒業後もボクシングを続けていたのか一旦離れたのか、その辺りによっても現在の実力は左右されそうです。
こういう実力未知数な選手が一人いると天下一武道会的には有り難き。
まとめ
2023年度新人王トーナメント東日本Lフライ級はエントリー6名と少数ですが、こうして見ていくとそれぞれ特徴があって感情移入しやすい階級と言えるかもしれません。
- 武相から横浜光ジムでプロへ、優勝候補の早坂峻
- 勝ち星のないのが不思議な長身ボクサー添田颯斗
- 爆弾筋肉パンチの髙橋梨王!!
- 昔懐かし角海老ファイター矢作海
- 諸刃の剣の磯金龍
- 未知数なダークホース杉本愛弥
果たしてこの中から誰が全日本決定戦にコマを進めるでしょう?
そして西軍代表から勝ち上がってくるのは誰でしょうか。
決して選手数が多いとは言えないLフライ級ですので今から出場選手を覚えておくと、先々タイトルマッチで名前を見かけて「お!?」となるかも分かりません。