選手紹介 那須川天心

キックボクシングから転向したボクサー達の戦績実績一覧

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ボクシングファン歴27年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。Xも投稿していますのでフォローいただけると嬉しいです。

2022年の一大イベントとなったTHE MATCH2022も終わり、2023年4月8日、那須川天心選手が遂にボクシングに転向初戦を行いました。

那須川天心はボクシングに転向してどこまでやれるのか!?

ボクシングへの転向表明後、散々議論されたこの問いへの答えも天心選手がボクシングデビューしたことで見えてきました。

この記事では那須川天心選手らボクシングに転向した元キックボクサー達の現在の戦績情報を一覧にしています。

更に既に引退したキックから転向した選手達の実績も紹介します。

ボクシングとキックボクシング、似ているようで結構違うこの2つの競技。

過去にキックから転向したボクサー達の戦績・実績を見ると、ボクシングの世界で結果を出すのは簡単ではないと言えましたが、最近の転向組は順応する速度が早くなってきております。

キック42戦無敗の神童 那須川天心選手(帝拳ジム)

那須川天心選手の2024年11月時点の戦績は5戦5勝(2KO)

  • 那須川天心選手のデビュー戦はバンタム級日本ランカーの与那覇勇気選手からダウンを奪い判定勝利。
  • 2戦目はメキシコのバンタム級王者ルイス グスマン選手から2度ダウンを奪う判定勝利。
  • 3戦目はバンタム級の世界ランカーに何もさせずTKO勝利(相手選手の負傷)。
  • 4戦目はバンタム級4位のジョナサン ロドリゲス選手にまたまた何もさせずTKO勝利。
  • 5戦目はアマ200戦、プロ無敗の難敵ジェルウィン アシロ選手に判定勝利。

まずデビュー戦が驚きで、高校アマを制した実績もある与那覇選手にまさかの完勝。

>>天心デビュー戦はリスキー!?イケメンボクサー与那覇勇気の危険な魅力

ボクサー那須川天心は想像以上でした。

デビュー戦ではスピードのある与那覇選手を相手にスピードで差をつけて寄せ付けず。

与那覇選手が打ちに行こうとするタイミングに次々とカウンターを合わせ、与那覇選手は手数を出したくても出せない状況に。

『パンチの軽さを』指摘する声もありましたが、そもそも与那覇選手は簡単に倒せる選手ではなかった。

キック時代の天心選手が好きだったファンからしたら長いラウンド戦う天心選手に物足りなさを感じたかもしれませんが、まだボクサーとして進化の過程なので今後はもっと驚くパフォーマンスを見せてくれるでしょう。

続く2戦目のルイス グスマン戦でも2度のダウンを奪う完勝。

デビュー戦よりもストレートに体重が乗ってきている印象でした。

倒せないことで色々言われる面もありますが、ボクシング転向後着実にステップアップをしております。

3戦目も世界ランキングにも入っているルイス ロブレス パチェコ選手に完勝して世界ランク入り。

帝拳パワーで世界ランク入りした感はありますが、それがなくても既に世界トップクラスの実力を持っています。

その後の4戦目でも正真正銘の世界上位ランカーに何もさせず圧倒してTKO。

自分から攻めて鋭い踏み込みから左ストレートを打ち抜くボクシングを見て、ここからKOを量産していく予感がしました。

5戦目はアマ200戦の難敵アシロに苦戦しましたが、先を見据えた良い経験になりました。

元K-1 WORLD GPスーパーバンタム級王者 武居由樹選手(大橋ジム)

元K-1 WORLD GPスーパーバンタム級王者の武居選手はボクシングでも同じスーパーバンタム級のB級でデビュー。

  • デビューから3戦連続で1ラウンドKO。
  • 4戦目も日本ランカーをわずか2ラウンドで仕留める。
  • 5戦目はデビューから1年と数ヶ月で東洋太平洋タイトルマッチに挑戦し、ベルト奪取。
  • 6戦目は井上尚弥選手の4団体統一戦アンダーカードで行われた東洋太平洋タイトルマッチの防衛戦は中盤に苦戦するも11RTKO勝利。
  • 7戦目は54.0kgの契約ウエイトで東洋太平洋バンタム級ランカーのロニー・バルドナド選手と対戦し、3Rに左ボディで10カウント。
  • 8戦目は54.5kgの契約ウエイトでマリオ ディアス選手をまたも左ボディで2RにKO。
  • 9戦目は井上尚弥 in 東京ドームでジェイソンモロニー選手相手に世界初挑戦でベルト奪取!!
  • 10戦目は比嘉大吾選手相手に際どい場面はあったもののぎりぎり競り勝つ。

7戦目で階級を落とした事で「小さくなったな!」と感じましたが試合は悶絶必死の左ボディで10カウント。

2024年は早くも9戦目で世界初挑戦の舞台へ。

元々アマチュアボクシングの経験があり、高校時代には関東大会で優勝する実績も持っていた武居選手。

K-1時代もボクシング技術を磨くために角海老宝石ジムにも通っていました。

角海老にはK-1からボクシングに転向した京太郎選手に加え、K-1で武居選手と戦っていた久保賢司選手も一時期所属していました。

ただ、武居選手は本格的にプロボクサーとして活動する上では大橋ジムを選択。

スポンサー関係等の影響もあったかも知れませんが、世界を狙う上では諸々充実した大橋ジムが武居選手にとっては良かったと思います。

キックからボクシングに転向した現役ボクサーの中では出世頭の武居選手。

9戦目で世界のベルトを取り、キックボクサー出身選手初の世界王者となりました。

10戦目では比嘉大吾選手にも競り勝ち、那須川天心選手との対戦可能性も現実味を帯びてきました。

ボクシング転向後KO連発の石井武志選手(大橋ジム)

石井武志選手の2024年11月時点の戦績は10戦9勝(7KO)1敗

キックボクサーとして4戦無敗も適正階級がないことからボクシングに転向した石井武志選手。

ボクシングに転向後はKO連発の快進撃で2022年の全日本新人王に。

新人王決勝は1試合目のミニマム級から順に階級が上がっていきますが、ミニマム級の石井武志選手が放つパンチ音を上回ったのはSフェザー級辺りからだったように記憶しております。

それくらいにミニマム級の中でパンチ力は桁違い。

その後に当時世界ランカーだったリト・ダンテ選手へのチャレンジマッチに2対1の判定で敗れますが、この敗戦を糧にボクサーとしての引き出しを増やし、2024年9月25日に東洋太平洋の王座を獲得しました。

王座決定戦で対戦したジョン ケビン ヒメネス選手もまたパンチャーで1Rからどっちが倒れてもおかしくないような強打を交換する激しい試合でした。

厳しい試合を乗り越えて王座を獲得した石井武志選手。

プロデビューから僅か2年半で世界を十分狙える実力を蓄えてきました。

規格外のハードパンチでミニマム級の世界戦線を盛り上げる選手になること間違いなし。

元RISEスーパーライト級王座 左右田泰臣選手(EBISU K's BOX)

RISEで優勝経験もある左右田選手は34歳とやや高齢ながらボクシング転向を表明。

2024年7月現在の戦績は8戦7勝(4KO)1分の無敗。

日本Sウェルター級の2位にランクされています。

ミドル級の新人王予選でデビューし、ダウン応酬の逆転KO勝利で初陣を飾りました。

出典:ボクシングモバイルより

この試合は会場で見ていましたが、動きはやや重たく。

対戦相手のインド人ボクサー、アンジュザブル選手がアマチュア経験者でスピードもあって強敵だったという点はありますが、左右田選手のデビュー戦からは特筆したものを感じることはありませんでした。

>>ワタナベ&DANGANオール4回戦2022/6/10 観戦記

続く東日本新人王トーナメント準決勝ではあの赤井英和さんの息子赤井英五郎選手との注目の一戦に勝利。

この試合は4回戦ながら日本タイトルマッチ並みの客入りで会場も大盛り上がりでした。

>>2022新人王ミドル級は注目選手揃い。帝拳VS元K-1に決勝は亀田の刺客?

  • 3戦目の東日本の決勝は全日本を制した時吉選手に惜しくも引き分け敗者扱いも想像以上の大善戦。
  • 4戦目は新人王トーナメントミドル級で西軍代表だった大島光容選手と対戦し、終始リードして6RTKO勝利。
  • 5戦目はタイ人のチャン・サーラー選手から2度ダウンを奪いフルマークの完勝。危なげない試合で安心し過ぎて少し眠くなりました(笑)
  • 6戦目は角海老宝石ジムの伊藤大賀選手に3RでKO勝利。この試合は苦戦すると思ったら初回にいきなりダウンを奪い圧倒。
  • 7戦目はタフなチョー ヨンイン選手に的確なパンチでダメージを与えて最終回にTKO勝利。
  • 8戦目は韓国のチョン マル選手に無難に判定勝利。

左右田選手どんどんボクシングに順応して強くなっています。

近いうちの日本タイトル挑戦が確実視されています。

元RIZEウェルター級王者 緑川創選手(EBISU K's BOX)

左右田泰臣選手の後に続いて同じくRIZE王者からEBISU K's BOXでプロボクサーとなった緑川選手。

キック時代は海人選手や"ブラックパンサー"ベイノア選手ら錚々たる面子と試合をしてきました(というか緑川選手自身が錚々たる面子の一人か)。

キック時代からどっしりと重たいパンチを打っていたのでボクサー向きではありました。

ボクサーとしては71キロ契約でいきなり6回戦デビュー。

プロキャリア豊富な中国のワン ダソン選手相手に1者がフルマークの内容で判定勝利しました。

ボクサーとしての順応度はデビューした時の左右田選手よりも高い。

K-1からボクシングへ!シャオリン孝司選手(協栄ジム)

K-1時代は5戦5勝(2KO) 9敗 1分と負け越していたシャオリン孝司選手。

パンチを教わっていた協栄ジムでボクサーとして再出発すると2戦2勝で2024年の東日本Sライト級新人王に。

とはいえまだまだボクサーとしては腰高でパンチに体重が乗っておらず課題はあります。

接近戦でのボディは良いが、腰高の点を改善出来れば。

元REBELS60kg王者 鈴木宙樹選手(FLARE山上ジム)

出典:山口拓也再起!元REBELS無敗王者鈴木宙樹との対決

Krush、KHAOS、REBELSのリングで活躍し、12戦無敗の戦績を残した鈴木宙樹選手もボクシングに転向。

REBELSがコロナ禍で試合が開催されず、最終的に消滅してしまった事がボクシング転向の決め手になったと考えられます。

REBELSでは60kg級でチャンピオンになった実績のある鈴木選手はボクシングではC級デビュー。

おそらく対戦相手が中々決まらなかったのでしょうが、デビュー戦の相手は後楽園ホールの名物ヤマタクこと山口拓也選手でした。

山口選手がどんな選手なのかは以下の記事をご参照ください。結構なキワモノボクサーです。

>>激レアさん。キャラ立ち個性派現役ボクサー10選(vol.1)

山口選手との試合での鈴木選手は、両肘のやや開いたアップライトのスタイルでキックボクサーっぽさが残っていましたが、そうは言ってもプロで4勝している選手を全く寄せ付けず1RでKO勝利を納めました。

その勢いで新人王トーナメントにエントリーしましたが初戦で棄権。

そして残念ながらボクシングから再びキックの道に戻っていきました。

キックの世界に戻った鈴木選手はONEチャンピオンシップのリングやRIZINのリングに上がり活躍しております。

ボクシングの世界で上に上がって行くには階級的にも時間が必要だったのでこれで良かったと思います。

両目ぱっちりのイケメンでもある鈴木選手のキックボクシング界での今後の活躍に期待しましょう。

移籍先はどこ?からドーピング騒動へ、木村"フィリップ"ミノル選手

出典:竹原テレビより

K-1からボクシングに転向を表明した木村"フィリップ"ミノル選手はデビューどころか移籍先すら決まっていない状況が続きました。

当初は平仲ボクシングスクールジムが最有力でしたが、沖縄という地理的な問題やスポンサー関係等の複雑な事情があるのか、いつまで経っても所属ジムが決まらず。

早く移籍先が決定するよう願っていたところ、T&Hジムで練習するようになり、T&Hジムの選手とのスパーリング動画が竹原チャンネルで公開されていました。

1回目のスパーリング動画では1Rでスタミナ切れし、体の重たい印象でしたが、2回目にアップされたスパーリング動画ではスタミナも問題なく、練習生のマッハたいせい君と4回戦で2戦2勝の杉山選手相手にかなり良い動きをしていました。

木村選手はスパーで相手を倒す等、終始圧倒していたので既に日本ランカー・チャンピオンクラスの実力を持っていると思われました(後にドーピングしていたことが発覚)。

  • ただA級ボクサーとなると8ラウンド。
  • 元々スタミナに難のあった木村選手がボクシングに適応するにはかなりの期間が必要になる。
  • ボクシングでは階級的に対戦相手も少なく、上に行くまでに時間もかかる。

こうして色々と考えた結果、

「ボクシングではないのかな」

となったのかもしれません。

2022年末にINOKI BOM-BA-YE×巌流島に参戦し、続いてKNOCK OUTに参戦表明。

総合とのミックスルールで試合をした次は肘ありのムエタイルール。

コロコロと戦場を移す様子をみていると、今後高いモチベーションを持ってトレーニングを積むことが出来るのかが懸念されましたが、その後ドーピング検査で陽性が発覚し、実力とは別な側面で話題を作ってしまいました。

ドーピングがなくなり一度作った体が失われていくことで更にモチベーションは下がっていくのではないでしょうか。

格闘家としてよりも今後のメンタルの部分が心配になります。

RIZINでライアン ガルシア選手とドーピング対決も噂されていますが、もう第一線で実力で魅せる選手としてリングに上がることは難しいか。

引退したキック出身選手達はどうだった?

現役ボクサーでキックから転向してきた選手達はまだ実績がそこまでないので、かつてキックボクシングでからボクシングに転向した選手達も見ていきたいと思います。

9個のチャンピオンベルトを持つ男 土屋ジョー

出典:JTクラブジムウェブサイトより

キックボクシング9冠の男、土屋ジョー氏も一時期プロボクサーをしていたことがありましたが、戦績は2勝2敗でその後またキックに復帰しました。

確か2戦目の試合を観た記憶があるのですが、6回戦の選手相手にかなり押され気味でKO負けをしていました。パンチがやや軽そうで、フィジカルの差を感じました。

サングラスにバラをくわえた姿が印象的でした。

キックとボクシングは似て非なるものなんだという事を初めて知ったのがこの試合でした。

元RISEバンタム級王者 久保賢司

出典:【OFFICIAL】王者・武居由樹 vs 挑戦者・久保賢司【K-1 WORLD GP スーパー・バンタム級タイトルマッチ】2018.3.21 K'FESTA.1

K-1で武居選手とも戦っていた久保賢司氏も一時期プロボクサーに転向していた時代がありました。

所属は角海老宝石ボクシングジムでした。

久保氏はB級デビューでしたが、ボクサーとしてはパンチが後ろ重心で伸びず、パワー負けするシーンがやや目立っていました。

ボクサーとしての最終戦績は5勝4敗1分。

活動期間は3年弱でしたが、最後までボクシングに適応しきれずに終わってしまった印象でした。

もう少し長く続けていれば、、と思いましたが、本人の中でもある程度活動期間を決めていたのでしょうね。

ファンへの対応が非常に礼儀正しく、華があって他のボクサー達の見本になるような選手でした。

新日本キック元ランカー 土屋修平

新日本キックでウエルター級4位にランクされていた土屋修平氏は比較的早くにボクシングに転向し、角海老宝石ジムでデビューし、12連続KO勝利と破竹の勢いで勝ち上がっていきました。

当時の勢いは本当に凄かったので、初めてボクシング観戦をする友人を土屋氏が出場する興行に連れて行った記憶があります。

その時も豪快に相手を倒していましたっけ。

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とにかく華があってKO率が高く、分かり易い試合をする魅力的な選手でした。

ランカークラスの相手に星を落とす事もありましたが、最終的には日本ライト級のチャンピオンベルトも手にし、キックからボクサーに転向した選手の中では出世頭と言えるかもしれません。

最近はだれバト(だれもが参加できるボクシングバトルイベント)というボクシングイベントを開催しているので注目しています。

大会情報等はだれバト公式サイトで発信されています。

センスのある方なのでどんどん面白いイベントになっていきそうな予感がします。

>>超エンタメ型ボクシングイベントだれバトとおやじファイトの比較

元K-1ヘビー級王者 京太郎選手

出典:ボクシングモバイルより

つい最近までプロボクサーとして活躍し、コロナ禍で試合が決まらない中で再びK-1に戻った京太郎選手。

京太郎選手も所属ジムは角海老宝石ボクシングジムでした。

京太郎選手も久保賢司氏同様に、右ストレートを打つ時に前に打ち込めない癖はありましたが、プロボクサーとして9年程キャリアを続ける中でボクシングに適応し、日本人としては初の東洋太平洋のヘビー級王者に上り詰めました。

もう少しボクシングを続けていれば但馬ミツロ選手との対戦もあったのではと思うと少し残念です。

もう一回ボクシングに復帰して但馬選手と戦ったら盛り上がると思うのですが。

まとめ

以上、現役選手と既に引退したキックからボクシングに転向した選手を紹介しましたが、過去にキックからボクシングに転向した選手達は皆ボクシングの壁にぶち当たる場面がありました。

結果を出した土屋修平氏や、京太郎選手も長くボクサーとしての競技生活を続けた結果の賜物でした。

アマチュアボクシングの経験がある武居選手は早くにボクシングに順応しましたが、それでも世界が近づくにつれて苦戦する様子も見せました。

那須川天心選手も世界のトップまで駆け上がっていく実力は持っていますが、ベルトを取るまでにはボクシングの壁に直面する場面も出てくるでしょう。

武居選手の世界初挑戦も天心選手の今後の試合もAmazonプライムビデオで配信の予定です。

武居選手の世界戦は東京ドームで観戦しましたが、天心選手の試合もどこかで会場観戦したいと考えております。

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