2024年9月3日(火)開催の井上尚弥 VS T.Jドヘニー戦がメイン『NTTドコモ presents Lemino BOXING』観戦チケットの一般先着販売が開始されました。
4回に分けて行われたチケット抽選販売。
東京ドームの4万席に対して有明アリーナは1万5千席。
さぞかし激しい抽選かと思いきや、蓋を開けてみたらアリーナSRS席(7列目以降)〜指定席Bまでの6種類の席に空席余裕ありという事態に。
ボクシング界の世界的スーパースターである井上尚弥選手ですらチケットが売れないのは由々しき事態ですが、そもそもそこまで売るための努力をしていないように感じてしまう程にチケット購入のハードルは高かったです。
初めにチケットの売れ行きをRIZINと比較した上でこのチケットが売れない理由と考えられる問題点を指摘します。
34年ぶり東京ドーム興行も超RIZIN.3の観客動員に及ばず
2024年5月6日(月祝)に開催された34年ぶり、日本人ボクサー初の東京ドーム興行は43,000人の観客を集めました。
チケットは当日も販売されており完売とはなりませんでしたが大成功と言って良い会場の盛り上がりでした。
しかし2024年7月28日(日)に開催された超RIZIN.3は更に上を行く48,000人の観客動員数を記録しました。
RIZINの観戦チケットは100万円を超えるVIP席が用意される等、井上尚弥 in 東京ドームと比べても高価格帯が多く設定されており、最安値席も東京ドームより高額でした。
それでもチケットは完売。
会場への集客力で比較するとボクシングはRIZINに遠く及ばないという現実が浮き彫りになりました。
井上尚弥選手ですらチケットが売れない原因
- 34年ぶりの東京ドームボクシング興行。
- 更に日本人ボクサーが東京ドームで初のメイン。
- 井上尚弥選手が因縁のルイス・ネリ選手と対戦。
これだけの材料が揃っても超RIZIN.3の集客には及びませんでした。
「RIZINが凄いだけ」という見方もありますが、ボクシングファンとしてはもっとファンが増えて欲しい。
会場にももっとお客さんが入って欲しいと願っているので、井上VSドヘニー戦のチケットが売れていない原因を考えてみました。
井上尚弥選手の試合は平日開催が多い
これは一体何故なのかわかりませんが、井上尚弥選手の世界戦は基本的に平日火曜日に行われることが多いです。
井上VSドヘニー戦も9月3日(火)。
試合開始は15:30から。
平日の15:30からボクシング観戦出来る人が果たしてどれくらいいるのでしょうか??
第2試合目には中重量級期待の星、佐々木尽選手が登場します。
しかし仕事が終わってから有明アリーナに向かっても残念ながら佐々木尽選手の試合には間に合いません。
井上尚弥のネームはボクシングファン以外でも知っています。
井上尚弥選手きっかけでボクシングを観て、そこから他の選手にも興味を持つ人もいるでしょう。
しかし井上尚弥選手の試合を観ようと仕事帰りに有明アリーナに足を運んでも佐々木尽選手の試合は既に終わっています。
新規ファン開拓を意識するのであれば、平日開催で大半の人がアンダーカードは観戦出来ない状況は残念でなりません。
試合のチケットが買いづらい
RIZINの試合チケットは複数のチケット販売所で購入出来ます。
- イープラス
- チケットぴあ
- ローソンチケット
これらはボクシングに関係なく多くの方が利用したことのある販売ツールです。
一方で井上尚弥選手の試合チケットは大橋ボクシングジムの独自のチケット販売サイトからでないと購入出来ません。
ちょっと興味が湧いたので井上尚弥選手の試合チケットを購入してみようかな。
と思った方はまずは慣れないサイトにアクセスしてアカウント登録をしないといけません。
このステップでライト層は大半が離脱するでしょう。
これはボクシング関係者・ボクシングファンが想像する何倍も何十倍もハードルの高いステップだと思っています。
富裕層にチケットが売れていない
今回のチケットの余り状況を見てみると3万円台の指定C席までは売り切れていますが、6万円台の指定B席以上が売れていません。
高価格帯のチケットはその金額に見合ったお得感が事前に伝わらないと売れるわけがありません。
例えばRIZINの場合にはチケット料金のページに具体的な座席イメージを載せています。
が、大橋ジムのチケット販売サイトではそうした座席表を探し出すことが出来ませんでした。
そりゃ売れるわけないって、、
よーく探せば見つかるのかも知れませんが、簡単に探せない時点でアウトです。
更に前述のとおり平日開催のため富裕層のビジネスマンは仕事で観戦に来ることが出来ないでしょう。
高額チケットのメリットが全然伝わってこないし、
座席がどの辺かも分からない、
加えてそもそも富裕層が観戦に行けない時間帯。
これでは高価格帯のチケットは売れるわけがありません。
富裕層になればなるほどサービスの質に対する視点は厳しくなるもの。
簡単にお金を出してくれる対象と捉えるのは大きな間違いです。
チケットの選択肢が多過ぎ、価格設定が馴染みなく複雑
物を売る上での愚策の一つとして取り上げられるのが選択肢を多く提示し過ぎること。
3種類、4種類の中からどれか一つを選ぶのなら簡単に決められますが、その選択肢が10種類等になってくると判断出来なくなるのが人間です。
特に自分が詳しくない世界の話になると尚更でしょう。
にも関わらず井上尚弥VSドヘニー戦のチケット価格は車いす席を除いて10種類も用意されています。
井上VSドヘニーチケット価格
- SRS席(アリーナ1〜6列目)275,000円
- SRS席(アリーナ7列目以降)242,000円
- RS席181,500円
- SS席151,200円
- S席121,000円
- A席84,700円
- B席60,500円
- C席36,300円
- D席24,200円
- E席12,100円
- 車いす席36,300円
- 介助者36,300円
(さすがガラパゴスのNTTドコモプレゼンツ??)
加えて金額も細かくて覚えられない。
1万の席にする?2万の席にする?思い切って10万いっちゃう??
といった会話を生み出しやすくするためにも金額はシンプルにする必要があるのではないでしょうか。
(価格帯がここまで細かく分かれているとVIP席との区分けも曖昧になり、高額チケットも売れにくくなる。)
まとめ:選手の名前頼みではない販売努力をするべき!!
井上VSドヘニー戦のチケットが売れない原因は他にも、
- 東京ドームの反動
- RIZINと比べた場合の話題性の低さ
- Leminoで無料視聴出来る
- 映画館での配信もある
といった原因もあるでしょう。
が、そういった要因があるにしてもそもそものチケット販売努力をしていないように感じます。
井上尚弥のネーミングがあれば売れるっしょ。
ではなく、もっと購入する側の目線に立ってどうすればチケットが売れるか考える努力が必要ではないでしょうか。
高価格帯のチケットを売るためにはやはりお金を出せるビジネスマンが観戦に行けて、接待ツールとしても活用される休日に開催するべきだと考えます。
その上で販売サイトももっと分かりやすく、座席の位置も事前に分かるように、座席の種類も金額もシンプルに、といった工夫をしていかないと今後もチケット販売においては苦戦が予想されます。
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