2022年の全日本新人王を圧倒的破壊力で制した大橋ジムの石井武志選手が2024年9月にOPBF東洋太平洋のタイトルを獲得。
2023年、2024年の新人王トーナメントでも次々と将来有望な新鋭が現れ、群雄割拠の様相を呈してきたミニマム級。
世界的にも選手が少なく世界が近いと言われるこの階級ですが、今日本国内がとても熱くなってきている。
この記事では2024年現在の日本ミニマム級トップ戦線の状況をおさらいした上で、次代を担う新鋭ボクサー達を紹介します。
重岡兄弟が先頭を走るミニマム級トップ戦線
ではまずはサラッと現在の日本ミニマム級トップ戦線を牽引する選手を紹介します。
重岡兄弟は兄弟で王座返り咲きへ
現在ミニマム級を代表するボクサーで真っ先に名前が挙がるのは重岡優大・銀次朗の重岡兄弟。
2024年は兄弟揃って世界王者から陥落する厳しい年になりましたが、敗北を経て更に強くなり2025年の間には再び世界王座に返り咲く可能性は十分。
3150×LUSHBOMUが必ず世界再挑戦のチャンスを作るでしょう。
銀次朗選手は怪我で復帰に時間が必要ですが、優大選手には2025年3月の3150×LUSHBOMUで世界挑戦のチャンスがあるかもしれない。
真正ジムの剛腕小林豪己は高田勇仁と激突
この二人の後と追随するのが真正ジムの剛腕小林豪己選手。
ミニマム級とは思えない剛腕が魅力的ですぐに世界に駆け上がると予想しておりましたが、2023年にジェイク アンパロ選手に初回に2度倒される判定負け。
このジェイク アンパロ選手の世界挑戦を重岡銀次朗選手は2R KOで退けており、小林選手が世界に挑むにはもうワンステップが必要か。
2025年1月24日(金)の井上尚弥VSグッドマンのアンダーカードで小林選手はライオンズジムの高田勇仁選手の挑戦を受ける。
高田選手は日本ミニマム級の王座を4度防衛し、満を辞して小林選手に挑戦します。
勝った方が世界に一気に近づく一戦。
これぞ芸術!松本流星
小林選手、高田選手を差し置いて世界へと駆け上がる予感のするボクサーが帝拳ジムの松本流星選手。
プロでは僅か4戦もアマチュアで92戦77勝15敗の実績を持つサウスポー。
構えただけで強さが分かる芸術作品のようなボクシングで全てにおいて穴がない。
手足も長く理想的なボクサー体型。
4戦目で日本ミニマム級タイトルを獲得し、初防衛戦でJBスポーツジムの岡田真虎選手の挑戦を受けます。
(最強のチャンピオンが君臨するタイミングで挑戦するところがまた岡田選手らしいところ。)
実力的には既に世界王者クラスの松本選手なのであと3戦くらいで世界挑戦のチャンスを得るのではないでしょうか。
重岡兄弟の3150と松本選手のTEIKENでプロモーター同士の勢力争いも注目のミニマム級トップ戦線です。
日本ミニマム級の次代を担う新鋭ボクサー達
重岡兄弟、小林豪己、高田勇仁、松本流星らが牽引するミニマム級ですが、近年は次代を担う新鋭ボクサーが続々と現れて群雄割拠の様相を呈しています。
ここからは次世代のチャンピオン、ランカー候補となる新鋭ボクサー達を紹介していきます。
ここで紹介する選手達がこれから潰し合い、勝ち上がった選手が世界への扉を開いていくことになるでしょう。
石井武志は新鋭達の壁となるか
2022年の全日本新人王獲得後、2年でOPBF東洋太平洋のベルトを手にした石井武志選手。
新人王獲得から2年での王座獲得はスピード出世も、この間に持ち前のパワーに頼らぬ丁寧なボクシングに磨きをかけ、東洋太平洋のベルトはフルラウンド戦い抜いての獲得。
新人王獲得後は日本人ボクサーとの対戦機会なくここまで来ましたが、ベルトを獲得したことで日本人ボクサーの挑戦を受けるようになるでしょう。
新鋭ボクサー達の壁となりながら自力をつけて世界ランクを上げていき、2年以内には世界挑戦のチャンスを手にするはず。
2023年全日本新人王の坂田一颯の切れ味
石井武志選手に続き2023年に全日本新人王となったS&Kジムの坂田一颯選手。
瞬間の動きが非常に速くディフェンス能力も高いところが坂田一颯選手の魅力。
坂田選手は地方ジム故に対戦相手がいないことが悩みの種。
2023年の新人王トーナメントでも対戦相手が立て続けに棄権する不遇に見舞われ、全日本新人王となった後もまだ1戦しか試合がない状態。
日本ミニマム級ランキングの6位に位置しているがプロでは2024年12月時点で5戦のキャリアのみ。
2025年2月13日(木) に2024年の東日本新人王ファイナリスト遠藤龍匠選手と対戦します。
お互いにアマチュアキャリアがあり、レベルの高い攻防が繰り広げられるでしょう。
坂田選手の瞬間のキレか、遠藤選手のテンポの良い波状攻撃か。
ユース王座獲得!北野武郎の綺麗なボクシング
2023年の全日本新人王ファイナリストで現日本ミニマム級ユース王者の北野武郎選手。
北野選手はフワッと優しいタッチのフットワークで華麗に動く姿が印象的。
綺麗なボクシングが魅力ですが1発当てた後で詰めきれない印象もまだ少し拭えない。
大橋ジム所属というジムの力もあり、新人王後もコンスタントに試合が決まり2024年9月に宮澤蓮斗選手が保持するユース王座に挑み僅差で勝利。
綺麗すぎるが故の詰めきれなさとフック系のパンチをややもらい気味なところはあるも、チャンスをものにして着実に成長しております。
宮澤蓮斗驚異の身体能力
松田ジム所属の宮澤蓮斗選手はアマチュアでのキャリアはないプロ叩き上げのボクサー。
アマチュアキャリア豊富なボクサー達のような綺麗さではなく、抜群の身体能力の高さが宮澤選手の魅力の一つ。
2022年の新人王トーナメントでは坂田一颯選手からダウンを奪って勝利を手にしています。
一気に距離を詰めて飛んでくる左右のフックは対戦相手にとっては驚異。
そして観戦している観客からしたら派手さがあって非常に面白い。
北野武郎戦では序盤にリードしていたものの後半に追い上げられて惜しくも敗れましたが勝ちでもおかしくない内容でした。
変則的な動きと身体能力の高さを感じるスピーディーな動きは観客の心を掴みます。
イカれたボクシングで2024年の全日本を制した杉浦義
2024年の新人王トーナメントで全階級を通してもっとも印象に残ったボクサーがミニマム級を制した杉浦義選手。
眠たそうな風貌からは想像もつかないアグレッシブファイトで距離を詰めて接近戦を仕掛け、ノンストップで打ちまくる。
ラウンドが進んでも手数は衰えない所が勢いを増す一方。
笑顔で咆哮を上げながら打ちまくる完全にイカれたボクシングで全日本を制してしまいました。
トーナメントの過程ではアマチュアキャリアのあるボクサー達を打ち合いに巻き込んで退けていきました。
クリーンヒットをもらう場面もあるのだが、もらっても全く首が跳ね上がらず、ブロッキングしたかのようにすぐにリターンを返す。
有効打のはずが有効打にならないものだから対戦相手は心をおられます。
杉浦選手は2023年の東日本新人王トーナメント決勝で敗れた北野武郎選手へのリベンジを目指しているが、8Rの戦いは北野選手からしたら嫌で嫌で仕方がないのではないか。
日本タイトルの10R、世界戦の12Rとラウンドが長くなればなるほど力を発揮するスタイルでしょう。
課題はディフェンス?パンチをもらっていないわけではないので、今のままクリーンヒットをもらっていたらこの先どこかでガクッと打たれ脆くなることがないとも言い切れない。
遠藤龍匠は坂田一颯にチャレンジ
2023年は北野武郎選手に、2024年は杉浦義選手に一歩及ばず新人王を逃した遠藤龍匠選手。
エキシビジョンで同門の日本上位ランカー伊佐選手とスパーをした際は太い体幹と重たいパンチに驚きました。
ミニマム級が適正階級なのだろうかという懸念はあります。
高校アマでも活躍していた選手でパンチの繋ぎが良くコンビネーションが多彩。
耐久力の面が課題でもらった時の見栄えがやや悪い。
しかしこれは減量苦によるところもあるのではないかと伊佐選手とのスパーを見てからは感じています。
次戦では上述の坂田一颯選手にアタック。
48.3kg契約とミニマム級より少し上の契約ウェイトな点は遠藤選手にとって有利に働くでしょう。
火を吹けアッパー丸山勇人
2024年の全日本新人王決定戦に西軍代表として登場した丸山勇人選手。
機敏な動きからの回転力が魅力的でその中でも特に左右のアッパー、特に特に右アッパーが素晴らしい選手。
全日本新人王決定戦は杉浦義選手に押し切られて敗れましたが、綺麗にアッパーを決めている場面も多々あり、クリーンヒットで採点したら丸山選手の勝利でもおかしくない試合内容でした。
欲をいえば一発にもっと決定力があれば良いのかもしれませんが、それによってあのキビキビとした動きが損なわれるのもいけない。
今の方向性のまま全体の底上げをはかっていけば長いラウンドの戦いになればなるほど持ち味が活かされていくのではないでしょうか。
宮川晟は横浜光に移籍しフィジカルアップなるか
升田ジムから横浜光ジムに移籍した2023年の西日本新人王ファイナリスト宮川晟選手。
スイッチヒッターで右に左にと攻防の中で目まぐるしくスイッチする姿が特徴的で観ていて楽しい選手です。
線の細さと攻撃特化型でディフェンス面の課題はありますが、先に紹介した宮澤蓮斗選手とも引き分けた過去があります。
横浜光ジムはどういうトレーニングをしているのか不明ですが、キャリアの中で所属選手達のフィジカルが目立って強くなっている印象のあるジム。
まだ19歳の宮川選手は横浜光ジムで弱点となっているディフェンス面、フィジカル面を強化すれば大化けする可能性を秘めています。
まとめ:選手層が一気に厚くなったミニマム級に注目
ミニマム級は選手層の薄い階級で日本ランカーは10位までしかいませんが、今回紹介したように将来性のある新鋭ボクサー達が次々に出てきています。
今回紹介した選手の他にも杉浦義選手をトーナメントで最も苦しめた京屋勇気選手、キックから転向した浅井麗斗選手も風格があって一気に伸びている選手達。
こうした新鋭ボクサー達の活躍でミニマム級の選手層は今後一気に厚くなっていく予感がします。
ミニマム級は世界を狙いやすい階級な一方でKOも少なくインパクトに欠けて人気が上がりづらい面もあります。
世界を獲っても上の階級のような話題性が生まれにくい階級です。
しかしここで取り上げたような新鋭ボクサー達がサバイバルマッチの中で生き残って次々と上位陣を脅かす存在になっていけば、ライバル関係も出来上がって世界の舞台も盛り上がっていくこと間違いなし。
新井田豊、イーグル京和、高山勝成、八重樫東、井岡一翔といった日本所属のボクサー達にロマゴン襲来でミニマム級が盛り上がっていた時代がありました。
あの頃を超えるようなミニマム級ウォーズが幕を開ける予感がします。
大橋会長の力でミニマム級フェニックストーナメントが開催されることを願います!!
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