現在日本ボクシング界のビッグマッチは2つの巨大プロモーターによって支えられています。
- 帝拳プロモーション
- フェニックスプロモーション
この二大巨頭に加え、
- エンタメ色を強めたボクシング興行3150FIGHT
- 音楽と食とボクシングを融合させたエンタメ集団LUSHBOMU
- 世界への登竜門TREASURE BOXING PROMOTION
これらの新興プロモーションが2020年以降に登場し、新たな枠組みを形成中。
安定的に幅広く興行を打つDANGANは国内ボクシングをオール4回戦からタイトルマッチまでカバー。
各ジムが自主興行を開催していた時代から、徐々にプロモーター主催の興行形態に変わりつつあります。
この記事では日本ボクシング界のプロモーター勢力図を戦国時代になぞらえながら整理することを試みております。
帝拳プロモーションー天下統一に最も近いプロモーション

帝拳ジムの設立は昭和21年。
80年近い歴史を持つ帝拳プロモーションは長い歴史の中で常に頂点に君臨し続けてきました。
国内ボクサーに限らずローマン・ゴンザレス選手やバムことジェシー・ロドリゲス選手ら海外選手もプロモートし、世界的にも名の知れたプロモーションです。
帝拳ジム所属選手の歴代世界王者は13名と国内最多。
プロモートしてきた海外の選手も含めると17名。
世界を見据えるなら帝拳ジムに所属し、帝拳プロモーションの興行で戦っていくのが世界への最短ルートといえます。
配信プラットフォームも盤石。
- WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT
- PRIME VIDEO PRESENTS LIVE BOXING
- エキサイトマッチ(WOWOW)
この3つで国内から世界まで網羅し、つけ入る隙の無い独走状態にいるのが帝拳プロモーションです。
実質的にボクシング界の天下を統一しているといって良い状態を築き上げております。
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帝拳プロモーションを戦国時代に例えるなら天下統一目前の織田信長状態が長らく続いているような状態でしょうか。
現在はバムが大ブレイク中。日本のリングではアンソニー・オラスクアガ選手が世界王者として日本国内のリングで活躍しています。岩田翔吉選手も一度は世界のベルトを獲り、再浮上を狙っているでしょう。
この後にも続々と帝拳ジム所属のファイターが世界への扉を開きます。
神童那須川天心選手の世界挑戦も近く、松本流星、村田昴、坪井智也、中野幹士等々名前を挙げればキリがない程に世界が近い選手達が控えています。
17歳で帝拳ジム会長に就任したプロモーターの本田明彦氏は2025年3月現在77歳。
本田会長を支えたマネージャーの長野ハル氏も亡くなり、プロモーターの後継者問題が帝拳プロモーションにとっては今後を占う上で重要なカギとなってくるでしょう。

フェニックスプロモーションー井上尚弥で勢力を一気に拡大

井上尚弥選手の異次元の活躍で帝拳プロモーションと肩を並べる程の存在になったフェニックスプロモーション。
大橋ジムとしてもフェニックスプロモーションとしても最盛期にあります。
Leminoによる配信もあり、井上尚弥選手が稼ぎまくったマネーで将来に向けた投資も着々と進めていることでしょう。
井上尚弥引退後がフェニックスプロモーションの最大の関門ですが、その頃には今撒いている種が芽を出し、続々とスター選手が現れているはず。
井上尚弥選手をトップに、武居由樹、井上拓真、平岡アンディ、力石政法選手らが脇を固め、松本圭佑、石井武志、今永虎雅選手らが次に続き、坂井優太選手らスーパールーキーが未来のチャンピオンとして控えています。
井上尚弥選手のキャリアも長くてあと5年といったところでしょうが、引退後はプロモーターへの転身も期待されています。
モンスタープロモーションによるボクシング興行、モンスターバトルが見られる時はやってくるでしょうか。
帝拳プロモーションとも協力関係にありながら徐々に勢力を拡大し、今や帝拳と肩を並べるような存在になったフェニックスプロモーション。
ゆくゆくは帝拳を凌ぎ天下を取る時が来るか??
戦国時代に例えるならば豊臣秀吉のような存在か。
井上尚弥選手がゆくゆくはプロモートを引継ぎ、最終的にモンスタープロモーションによる天下統一もあり得る未来。
井上尚弥選手の強みはボクシングだけでなく、発信力やファッションも含めて全方位に継続的な努力が出来るところ。
この力を引退後にプロモーターとして活用していけば、時間はかかるでしょうが日本から世界を震撼させていくようなプロモーションを生み出すかもしれません。
プロモーター井上尚弥氏が徳川家康のように天下を統一し、鎖国ではなく世界に日本人ボクサーを率いて勝負に出る時代がやってきたら面白いです。
3150FIGHT×LUSHBOMUーエンタメ力で新たな観戦スタイルを構築中

日本ボクシング界を騒がせた亀田一家の長男亀田興毅氏がコロナ禍に立ち上げた3150FIGHT。
帝拳、フェニックスが王道のボクシング興行路線であるのに対し、3150FIGHTはエンタメ色を強めることで新規ファンの開拓を目指しました。
3150FIGHT vol.3では皇治選手のエキシビジョンで観客と視聴数を集めるも、その後の東京進出から歯車が狂い出す。
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東京での興行は観戦に足を運びましたがとにかくお客が集まらない。

東京にはまだまだ亀田アレルギーが根強く残っていることが露呈される結果となりました。
こんなにも集客は難しいものかと現実を目の当たりにしていたところに、興行の直前中止やPPVの中止といった運営面での課題が露呈し、3150FIGHTは残念ながら vol.9で消滅。
現在はもう一つの新興プロモーションLUSHBOMUと合体して再出発を図っています。
3150FIGHTのマッチメイク力とLUSHBOMUの集客力、エンタメ力でボクシング観戦をカジュアルに楽しむ新たな枠組みが生まれつつあります。
エンタメ色を出した新たな観戦スタイルを模索し、新規顧客の開拓に努める姿は、戦国武将に例えれば政治力に長けた武田信玄といったところでしょうか。
まだまだ帝拳プロモーションを脅かすような存在とはなっていませんが、このまま必要以上には目立たず着々と独自路線を開拓しながら地方ジムの支持を集めて勢力拡大を目指していくべき時期でしょう。
3150×LUSHBOMUが成功するか否かがボクシング界の未来には大きな影響を及ぼしていくはず。
一番気になっているプロモーションです。
3150×LUSHBOMUの配信はABEMA。

3150FIGHTと手を組んだ謎のエンタメ集団LUSHBOMU

ボクシング興行なのに試合会場に足を運ぶと謎に音楽ライブが繰り広げられていてお客さんはノリノリ。
会場内には飲食スペースもあり飲み食いしながらくつろいで音楽鑑賞とボクシング観戦。
そして1試合目の4回戦から客席は超満員という通常のボクシング興行ではあり得ない観戦スタイルを提案したエンタメ集団LUSHBOMU。

試合会場に運ぶとたくさんのスタッフが精力的に動き回っており、その姿も通常のボクシング興行では見られない光景です。
現在は3150FIGHTと手を組む形で勢力を拡大していますが、今後も他のプロモーションと手を組んだアクションや単独での興行も十分あり得ます。
3150FIGHTの東京進出は亀田アレルギーの強さから得策ではありませんが、
LUSHBOMU単体なら他のプロモーションと手を組む形で抵抗なく入っていけるはず。
後楽園ホールであの空間を作るのは困難なので別会場にはなりそうですが。
戦国時代に例えるなら独自路線の独眼竜伊達政宗??
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DANGANー国内ボクシングを安定的に支える義の精神をもつ存在

オール4回戦からタイトルマッチまで幅広く興行を打って日本ボクシング界の根幹を支える存在がDANGAN。
公式サイトも質素で新規顧客の開拓を狙っていくというよりはジムと選手と既存ファンに寄り添い、安定的に興行を提供していく存在です。
オール4回戦のような集客困難な興行も数多く手がけて選手が育つ場を提供するDANGANは義の精神を持ったプロモーションといえます。
どんなに日本ボクシング界が不人気の状況に陥っても最後の最後まで残るのがきっとDANGAN。
戦国武将に例えるなら義の武将といわれた上杉謙信でしょうか。
私torajiroは4回戦の試合が好きなので何だかんだで一番多く観戦に行っている興行がDANGANです。
オール4回戦の初勝利を目指すボクサー。
ここから上がっていくんだとイケイケな選手もいれば緊張で押しつぶされそうな選手も。
人間模様が垣間見れる4回戦の世界がたまらなく好きです。
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A-SIGN・TREASURE BOXING PROMOTIONの今後は??
帝拳プロモーションの傘下的立ち位置のA-SIGNとTREASURE BOXING PROMOTION(TBプロモーション)はそれぞれ今後の方向性が気になる存在です。
A-SIGNはYouTube配信や自主興行で目立った存在でしたが、WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXTが始まって以降?辺りから興行面よりも横浜光ジムとしての選手の育成に軸足が移っているように感じます。
Dangan+WHO'S NEXTで盤石なプラットフォームが出来上がっているので、そこに乗せて上に上がっていく選手を育てていく方面に力を注いでいるように映ります。
横浜光ジムの公式サイトも以前はなかった選手紹介が掲載されております。
TBプロモーションは世界への登竜門的位置付けでスタートし、海外のリングで日本人ボクサーに次々と黒星がつく無理ゲーのような状態が続きました。
契約したカシメロも期待外れなパフォーマンスや体重超過によって契約更新とはならず、新興プロモーションとして厳しい局面におります。
厳しい道のりだからこそ、伊藤雅雪代表にはこの壁を乗り越えて欲しいと期待しています。
まとめ:帝拳&フェニックス時代はまだまだ続く
こうして主要な日本のボクシングプロモーションを見ていくと帝拳&フェニックス時代は今後も長く続いていくことが予想されます。
この先今よりももっと盤石な状態になっていくのではないでしょうか。
この2強に弱点があるとすれば帝拳は本田会長の後継者問題。
フェニックスプロモーションは井上尚弥選手の引退後。
両者がこの課題を克服した先にはどんな未来が待っているでしょうか??
3150とLUSHBOMUはその時どんな立ち位置になっているのか??
こうして興行主の勢力図を見ていくのもボクシングの楽しみの一つではあります。