こんにちはボクシングブロガーのtorajiroです。
15年以上も昔の話ですが、自分もかつてプロボクサーをやっていた時期がありました。
プロボクサーとなって迎えたデビュー戦、試合中は頭の中真っ白で応援の声もセコンドの指示も頭に入ってきませんでした。
試合内容もあまり覚えていません(ほぼフルマークのボロ負け)。。
しかしリングに上がって意外だった事、初体験だった事は今でもはっきり覚えています。
- 想像以上にパンチが当たるまでの距離が遠い
- ヘッドギア無しで初めて8オンスのグローブでパンチをもらった時の衝撃
- 逆に相手の顔面にパンチを当てた時の骨っぽい感じ
- 殴るも殴られるもとにかくリアルな感触
これらはっきり覚えています。
でも、それより何より一番印象に残ったのがレフェリーでした。
実は試合中結構しゃべっているレフェリー
ボクシングのレフェリーはテレビ・配信で視聴していても特に多くの言葉を発しているようには見えないのですが、リング上では結構色んな言葉を発していました。
勿論主に反則に対する注意ですが、特に4回戦のキャリアが浅い選手の試合だと反則行為に対する指導が徹底されています。
「ブレイク!!」っとクリンチの間に入ってほどいた後、両選手に対して注意している様子はボクシングを観たことのある方なら分かるかと思いますが、クリンチ振り解く前の段階から横でめっちゃ注意されてます。
「はい!そこくっ付かない!自分で振りほどく!そこで打つ!そうそう、そう!」
といった具合で、試合中なのにまるで講習を受けているようでした。
何戦かしたらもうそんなに指導される事は無くなりましたが、最初の2戦は結構色々とリング上で注意されていました。
いろんなタイプのレフェリーがいた
デビュー戦のレフェリーは厳しい中にも暖かさがあり、上述のように注意をしながらも「そうそう!」と最後は励ましてくれました。
まさかリング上でレフェリーがこんなに人間味があるとは当時の自分は思っていなかったので、これには相当ビックリしました。
2戦目のレフェリーはメチャクチャ恐くて、バランス崩して再三クリンチ状態になっていたら
「お前いい加減にしろよ!!」
とお説教されました。
「次やったら減点するからな!」と厳しく注意され、ほんとにその後減点されました。
終始厳しく、デビュー戦の時のような暖かい言葉はなかったです。
でも、お陰で自分のバランスの悪さを見直す大きなきっかけになりました。
3戦目以降は緊張でガチャガチャのボクシングになる事もなくなり、反則を注意される場面もほぼなくなりました。
なので3戦目以降はそれほどレフェリーの印象はありませんが、優しい笑顔で落ち着かせようとしてくれているか、淡々とレフェリングをしている感じでした。
レフェリーは試合中相当忙しい
試合中のレフェリーはただ横で見ているだけじゃなく、実は相当忙しいです。
試合自体相当早いテンポで動いている中で、何かあったら躊躇なくすぐに間に割って入らないといけない。
3分の間は常に全集中状態です。
ここぞというタイミングで割って入りますが、集中していないとあんなすぐには動けないです。
ダウンシーンでも倒された選手の目をよ〜く確認しながら全体の様子も見ていて、危ないと思ったタイミングですぐにストップ。
あれは相当経験積んでいないと出来ないと思いますね。
常に先の展開を予測していないとあんなに早くは動けないと思います。
スパーリングの際に何度かレフェリー役として入った経験がありますが、躊躇していたらすぐ次の展開に行ってしまい取り残されます。
躊躇なく「今!!」と思うと同時に体が動く。
そういう感覚が体に染み付いていないとレフェリーは務まらないと感じました。
レフェリーの方々のボクシング愛
いろんなレフェリーの方がいましたが、全ての方からボクシングへの愛と選手への暖かい心を感じました。
厳しいレフェリーの方も、何故かはうまく説明できませんが、根底に愛情を感じました。
これは実際リングに上がると理由がわかると思います。
レフェリーの方々もこれを本業としている訳ではなく、他に仕事を持ちながら隙間の時間でレフェリーというハードな仕事をしている訳ですから、とにかくボクシングへの情熱がないととてもじゃないけど続けられない仕事です。
有名になって大金稼げるような仕事でもありませんし、「とにかく情熱!!」好きじゃないと出来ない仕事です。
レフェリーのなり手がいなくならないかという心配
ボクサー人口はコロナ禍まで減少の一途を辿っていて、コロナ禍の前から実は同じ選手同士の再戦、再々戦の試合が増えてきている心配な状態でした。
コロナ禍で選手の減少は更に加速しましたが、こんな状況下でレフェリーをやってくださる方は相当貴重です。
お金だってそんなにもらえる訳ではありません。
コロナ禍が明け、興行数も選手数も上昇に転じ始めていますが、
レフェリーの数が足りているのだろうか??
また、
過重な労働でレフェリングの質を担保出来なくはならないか??
と心配しております。
選手やトレーナーにスポットが当たる事はありますが、縁の下の力持ちのレフェリーにスポットが当たる事って殆どありません。
スポットが当たるのは大抵がレフェリングに対する批判があるときです。
厳しい仕事ではありますが、
もっとこの仕事が良い方面で脚光を浴びるようになり、やってみたいと思う人が増えることを願っております!!
(深い深いリスペクトも込めて自分は絶対無理と思ってしまう。。)
大好きなボクシング業界維持のため、多くの時間を割いて貢献してくださるレフェリーの方々に感謝。