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2022年度に定年を迎えるプロボクサー達のラストファイト

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torajiro

ボクシングファン歴27年。プロボクサー歴3年。ボクシングブロガー歴2年。一人でも多くのプロボクサーの戦った証をネット上の記事として残していきたいと思いブログを開設。Xも投稿していますのでフォローいただけると嬉しいです。

こんにちはtorajiroです。

統計上の数字は不明ですがプロボクサーの平均年齢は明らかに上がったと思われる今日この頃。

ボクシング観戦をしていても「この試合後に37歳の誕生日を迎えるのでこれがラストファイトになります。」というシチュエーションを何度も見てきました。

そこで追いきれていない試合もありますが、2022年度にラストファイトを行った選手達を紹介します。

一戦一戦が心を打つ。

戦った選手達の記録をここに残します。

Lフライ級新人王トーナメントで引き分けた伊藤翔太選手

八尾ジム所属の伊藤翔太選手のラストファイトは2022年4月9日(土) の新人王トーナメント予選。

出典:ボクシングモバイルより

結果はドローでしたが引き分け敗者扱い。

6月26日に37歳の誕生日を迎えた事で定年に。

試合動画をBOXING RAISEで観ましたが、どっこいどっこいながらややフィジカル面での弱さは感じてしまいました。

生涯戦績は8戦2勝(1KO)5敗(3KO)1分。

デビュー戦では現在日本Lフライ級1位にランクされるミツキジムの冨田大樹選手と試合をしていました。

プロで8戦したこと、2勝したこと、更に1KOは誰にでも出来る事ではありません。

>>伊藤 翔太 VS 久保 伊織(BOXING RAISE)

最初で最後のリングに上がった要陽太選手

2022年5月29日(日)にデビュー戦を行った要陽太選手はこの試合に2対0の判定で敗れ、7月7日に37歳の誕生日を迎えた事で定年。

出典:ボクシングモバイルより

勝っても負けて最初で最後の一戦に敗れました。

1試合でもプロのリングに上がって試合をした経験は一生自慢してください。

絶対緊張しましたよね。

めちゃくちゃライトが当たって、人が見ている中で相手が殴ってきて自分も殴って。

日常生活では一生味わえない特別な経験をされた事と思います。

高木裕史選手ランカーを賭けたラストファイト

出典:ボクシングモバイルより

2022年6月23日(木)に定年延長を賭けて日本ランカーの花森成吾選手と対戦予定だった高木裕史選手。

試合は残念ながら花森選手が新型コロナウイルス濃厚接触となったため中止。

仕切り直しとなった試合は2022年12月26日(月)花森選手と同じJBスポーツジムのランカー今川未徠選手と対戦。

1R開始早々から自力の差を感じる展開。

背格好の近いサウスポー同士の両者、打開策なく進んでいくと思われた試合は途中から高木選手が積極的に前に出て細かいパンチをまとめたり、相打ちの強打を打ち込んでみたり、何とか状況を打開しようと模索する場面も。

3Rには右フックをヒットさせる場面もあり、4Rには相打ち狙いの左ストレートを何度か決める見せ場も作りました。

しかし日本ランカー今川選手との自力差は大きく、徐々にダメージを蓄積させ7Rに連打を浴び無念のTKO負け。

最後レフェリーに救出された時の高木選手の無念の表情には心を打たれました。

もうあと少しリングに上がっていたかった気持ちはあったと思います。

でも最後まで諦めず、持てる力をフルに使って勝利を手にしようと手を尽くした高木選手のラストファイトは胸を打ちました。

感動をありがとうございました。

4敗1分に終わった進藤達也選手の挑戦

出典:ボクシングモバイルより

1985年3月11日生まれの進藤選手のラストファイトは2022年3月5日(土) 。

初勝利を賭けて三迫ジムの田中利信選手と戦いましたが2RTKO負け。

進藤選手はガードをしっかり上げてジャブを打つ堅実なスタイルで、一見勝てそうなボクシングなのですが、攻められた時の耐久力にやや難がありました。

耐久力的な面での課題はありましたが、ボクシング技術自体は基本に忠実でしっかり練習した事がリング上で出せていたと思います。

最終戦で有終の美を飾った前川祐亮選手

2022年7月15日(金) にラストファイトを行い、KO勝利を納めた前川祐亮選手。

出典:ボクシングモバイルより

2013年のデビューから1〜3年に1試合という試合間隔の中で7戦を戦った前川選手。

最終戦績も4勝3敗と勝ち越し、本人も納得のラストファイトだった事と思います。

前川選手の場合はベテランの味わいというよりもボクシングはやや雑ながら骨の強さ、ナチュラルな強さが滲み出たファイトスタイルでした。

こういうタイプの選手はまだやれるんじゃないかという気がします。

元ランカーに挑んだ西村直哉選手

2022年7月15日(金)に元日本ランカーの石井龍誠選手とラストファイトを行った西村直哉選手。

出典:ボクシングモバイルより

ラストファイトは4RTKO負けでしたが、年齢による衰えを感じないボクシングでした。

戦績を見ると4勝11敗1分で大きく負け越しているボクサーですが、体はしっかりしていてまだまだ伸び代があるんじゃないかと感じてしまう選手でした。

16戦の試合の中でのダメージの蓄積も勿論あると思うので、そこを考えるとまた別ですが、フィジカル的には定年を迎えるようには見えないボクサーでした。

デビューがもう少し早ければ、、伸び代を残した田邉俊介選手

出典:ボクシングモバイルより

35歳と遅咲きのデビューを果たした田邉俊介選手はデビュー戦で勝利したものの2連敗。

最終戦から誕生日までまだ時間はありましたが、怪我の影響もありこのまま引退となりました。

35歳でデビューした割には体はしっかりしていて、ボクシング以前に何かスポーツを継続していたのかなと思わせる体の動きでした。

デビューが遅い分まだまだ伸び代を感じ、もうあと2年くらいはプロで続けさせてあげてもと個人的には感じてしまう選手でした。

ヤマタクこと山口拓也選手は次世代のホープに胸を貸して散る

ここでヤマタクこと山口拓也選手の登場です。

関東のボクシングファンの間では有名なボクサーで、個性的なキャラクターで勝っても負けても後楽園ホールに笑いと感動を提供し続けてくれた唯一無二の存在でした。

>>激レアさん。キャラ立ち個性派現役ボクサー10選(vol.1)

ラストファイトはキックボクシングで無敗のままREVELS王者となった鈴木宙樹選手のボクシング転向初戦。

大いに後楽園ホールを盛り上げ続けてきてくれた選手がこのままひっそりと引退するのは寂しい。

もう1戦はやるのかなと期待していたのですが。

出来れば引退スパー的なものが見てみたいです。

ブリヂストン公認プロボクサー太田興一選手

ブリヂストンで働くサラリーマンボクサーとして、ブリヂストン社のブログで取り上げられた事もある太田興一選手。

>>働きながら、夢を追う――プロボクサーサラリーマンのストーリー

デビューから2戦2勝2KOと幸先の良いスタートを切りましたが、後の2戦は2敗2KO負けと対照的な結果に終わりました。

ラストファイトは2022年5月10日(火) 、相手は今年の新人王優勝候補の1人大橋ジムの長沼蒼大選手でした。

サラリーマンをしながら夢を追う姿に勇気を貰った方は少なくないはずです。

きっと太田選手の周囲で心を動かされた方、勇気を貰った方はたくさんいた事でしょう。

>>サラリーマンボクサー情報まとめ。正社員でも仕事と両立でプロボクサーになれる!

最近は働き方改革の流れを受けてか、サラリーマンでも二足の草鞋でプロ活動を行う方が増えてきた印象です。良い傾向ですね。

アスリート活動を念頭に置いた就職活動のサポートをしてくれる就職支援サービスも出てきており、選手活動を継続できる社会環境はかつてよりは整ってきているように感じております。

現役ボクサーの方も引退後のキャリアの事も考えながら働き方を選択しておけると良いと思います。

私torajiroはボクサーを引退して10数年が経ちますが、元ボクサーで同窓会を開くと現役時代から将来の事を考えた働き方をしていた選手とそうでなかった選手とで生活にかなりの差が出ています。

現役生活を長く続ける上でも、その先を考えた上でも、現役のうちからキャリアアップに繋がる働き方が出来ていると良いのかなと思います。

アマチュアエリートからダウンを奪って後一歩だった駒井健太選手

定年がくる前に13,4年振りに現役復帰した駒井健太選手。

3150ファイトクラブからプロデビューしたアディオスこと佐々木る玖選手のデビュー戦の相手を務め、見事ドローまで持ち込みました。

ラストファイトは2022年8月14日(日) 。

出典:ボクシングモバイルより

相手は高校時代に全国選抜優勝し、日大ボクシング部を経てプロになった大峯優真選手。

プロでは4連敗と結果を出せずにいた大峯選手と戦い、序盤にタイミングの良い右でダウンを奪う上々の出来でしたが後半に盛り返されて判定負け。

復帰後は白星を挙げる事が出来ませんでしたが、パンチのキレは年齢を感じさせないものでした。

ベテランの味わい深いボクシングを存分に見せた芦沢広樹選手

ベテランボクサーならではの味わい深いボクシングを見せてくれた芦沢選手ラストファイトは2022年8月7日(日) 。

グリーンツダジムのホープ柴田尊文選手との一戦でした。

芦沢選手はゆったりとした独特のリズムで相手の打ち気を削ぎ、フッと気を抜いたところに体が先に動いて遅れて飛んでくるジャブが来たり、同じ動きから左ボディが飛んできたり、中間距離では左を伸ばして被弾を回避し、距離が近づいたら両肘で顔面を守ったりくっついたり。

とにかく老獪で、持っている体の能力を総動員して勝ちにいくボクシングが魅力的でした。

右クロスの角度も良かったです。

2021年の山岸卓人選手との一戦では、フックからの右アッパー空振り後、山岸選手のガードをジャブとスレートで割り、そこから右アッパーのダブルでKO。お見事でした。

出典:ボクシングモバイルより

芦沢選手のボクシングはもう少し見たかったです。

デビュー戦が引退試合?浅沼邦夫選手

東日本ウエルター級の新人王トーナメントでデビューし、初戦に4RTKO負けで敗れた浅沼選手。

誕生日まで半年ありましたが、この試合がラストファイトとなりました。

デビュー戦は体格で負けている印象はありましたが、序盤は良く足を動かして打ち終わり動く意識を徹底させているところがとても良かったです。

3R目からはいつ止められてもおかしくない状況が続いていましたが、その中でも右カウンターを決めたり、右からの左で飛び込んだり、最後まで勝負を諦めない姿勢を感じました。

出典:ボクシングモバイルより

もっと早くからボクシングをやっていたら良い感じの曲者ボクサーになっていたように思います。

ランカーの安達陸虎選手に挑んだ甲斐斗志広選手

加藤寿選手が定年前日の試合で日本ランカーの安達陸虎選手から奇跡のKO勝利を収めた試合が今年の話題になりましたが、甲斐選手も定年延長を賭けて安達選手に勝負を挑みました。

出典:ボクシングモバイルより

試合が行われたのは2022年3月8日(火)。

結果は6RKO負け。

甲斐選手は過去に当時のランカーの大石豊選手を破って日本ランカーになった事もある実力者。

強敵との対戦が多いので負けは多いですが(6勝14敗3分)、決して弱い訳ではありません。

新人王トーナメントの西軍代表にもなっていましたし、後に帝尊康輝選手に勝利した京原和輝選手とも引き分けています。

動きが落ちたという印象はそれ程ありませんが、体格的にはしぼんだ感じはありました。

まだまだ成長途中だったガチコ萩生田選手

続いては女子ボクサーのガチコ萩生田選手。

慶應女子校、慶應大学卒業を経てプロテスト受験ギリギリにプロボクサーになった一風変わった選手。

デビュー戦で敗れ、2戦目でお互いの定年延長を賭けてアダムス ハナコ選手と戦った2022年7月28日(木)の1戦でドロー。

翌月が誕生日だったのでこれで引退かと思ったところ、色んな関係者の方々の尽力で2022年8月14日(日)ガチコ選手の誕生日前日にアダムス選手との再戦に漕ぎ着けました。

アダムス選手との初戦はワンツー連打でがむしゃらに接近戦に持っていく戦法で若干分の悪いドローかなと思いましたが、再戦はジャブから入って右ストレートをしっかり当てて接近戦に持ち込めていたので、初戦よりはポイントは取れていると思いましたが判定は2対0で敗北。

アダムス選手はおそらくこの1勝でランキングに入り定年延長。

ガチコ選手は規定により引退。

男子と比べると女子ボクサーは40代でもバリバリ動ける選手が多く、選手生命的には男子と同じ基準を当てはめる事に違和感はあります。

ガチコ選手の場合も1戦目より2戦目、2戦目より3戦目と試合の度にボクシングのレベルが上がっていたので、何だか勿体無いなぁという気持ちが残りました。

ランカー相手の再戦で意地を見せた為田真生選手

山口拓也選手と同じW日立ジム所属の為田真生選手は2022年9月25日(日)に日本ランカーの宮本康平選手に挑み判定負け。

7月に対戦した両者のダイレクトリマッチでしたが勝利を手にすることは出来ませんでした。

技術とパワーの差はありながらも、この試合で為田選手はガードを固めてジャブを突き、強振する右フックが宮本選手を捉える場面もありました。左フックから左ボディのダブルや力強い右アッパーも有効でした。

出典:ボクシングモバイルより

ラストラウンドの6R目にはジャブで宮本選手の顔を跳ね上げる場面もあり、ラスト10秒は必死に手を出して終了。

判定結果が出た後、リング上で為田選手も宮本選手もリングアナも皆笑顔の場面を見て、「やりきったんだなぁ」と思いました。

出典:REAL SPIRITS vol.82 LIVE STREAMINGより

こういう試合を見ると込み上げてくるものがあります。

(2023.7.27追記)

定年引退となった為田真生選手ですが、JBCの定年制度改正によりワールド日立ボクシングジムと再契約。

なんと定年からの奇跡のカムバックを成し遂げて早速2023年7月28日にフィリピンでミドル級6回戦のリングに上がります。

対戦相手はTBプロモーションの興行で井上岳志選手と対戦し、見栄えの良い強打で引き分けまで持ち込んだ強敵ウェルジョン・ミンドロ選手。

復帰初戦で厳しい相手ですが本当に定年引退から復活する選手が出てきた事に感動。

2024年10月19日(土)為田真生選手定年引退から復活しての勝利!!

定年制度の廃止により復活した為田選手は2024年10月19日(土)につくばカピオで會津タツヤ選手と対戦。

サウスポーの會津選手に右ストレートで入り左右の力強いボディを打っていく為田選手に対し、會津選手は中間距離で左ストレートを上下にヒットさせる展開。

試合はやや會津選手優勢の中、4Rに為田選手が手数とボディでポイントを五分に戻したかに見えた。

そして迎えた5R。前のラウンドにバッティングでカットした會津選手の傷が試合続行不可能と判断され判定へ。

結果、なんと2対1のスプリットデシジョンで為田選手が勝利!!

定年引退からの復活、そしてそこからの初勝利を手にしました!!

涙を流す為田選手と、それを温かい眼差しで労う福地レフェリー。

感動的なシーンでした。

(仕事がなければ会場に行く予定だっただけにそこは残念。。)

為田選手おめでとうございます。

BOXING RAISEより

ダウン応酬の死闘の末に散った高畑里望選手

ランカー特例で定年後も長らく競技生活を続けてきたドリームジムの高畑里望選手が43歳にして遂にランキング落ちし引退。

最後の対戦相手は同じく定年延長でリングに上がる大橋ジムの岡田誠一選手でした。

2Rに高畑選手が長いリーチを活かして打ち抜いた右で岡田選手がゆっくりと倒れた姿を見て、誰もがこれで決まったかと思ったこの試合。

岡田選手がここから脅威の粘りを見せて徐々に追い上げ、最終ラウンドに岡田選手が打った渾身の右で高畑選手は大の字に倒れ起き上がることが出来ませんでした。

高畑選手は長い競技生活の中、ドリームジムに三浦数馬選手、中嶋孝文選手、尹文鉉選手、藤原陽介選手らがいた勢いのあった時代から第一線で活躍を続けて来たレジェンドボクサー。

対戦相手の中には尾川堅一選手、金子大樹選手、内藤律樹選手、末吉大選手らのチャンピオンクラスの選手が多く含まれていて、戦績を見ていると懐かしさが込み上げてきます。

高畑選手が新人王トーナメントに出場していた時代なんか本当に懐かしい。

当時の帝拳のホープ横山雄一選手を破った試合や、荒井翔選手との試合等、新人王時代から時代を超えて多くの一流選手達と拳を交え、トップファイター達に土をつける事も何度もありました。

ボクシングモバイルの高畑選手の写真ギャラリーを見ていると、時代の流れを強く感じました。

流れゆく時代の中、変わらぬ姿でリングに上がり続けた高畑里望選手。

本当にお疲れ様でした。

出典:ボクシングモバイルより

ファイティングポーズを取るもTKO元ランカーの金井隆明選手

2018年に当時日本ランカーだった坂本英生選手に判定勝ちしランカーとなった金井隆明選手。

坂本選手は過去に勅使河原選手とも引き分け、元東洋チャンピオンで現在三迫ジムのトレーナーをされている椎野大輝選手やゾンビファイター田村亮一選手にも勝利していた強敵でした。

この坂本選手に勝利して手にした日本ランクは翌戦で新座市役所ボクサーとして活躍していた新座宏選手に敗れて明け渡し、そのまま連敗の中で最終試合は2022年11月19日(土)日本ランカーの亀田京之介選手との一戦でした。

試合は距離を詰めようとする金井選手に対し、亀田選手が金井選手の距離になる前にジャブで先手を取って右をねじ込む展開に。

金井選手も亀田選手のジャブに右を合わせようとしていましたが先手を取られて苦しい場面が続きました。

3Rに距離を詰めて勝負に出ますが、ここで亀田選手の左からの右がクリーンヒット。

ダウンした金井選手は立ち上がってファイティングポーズを取りますが、ふらつく足元を見てレフェリーが試合をストップ。

止められた直後は「嘘っ!?」という様子でまだやれるとアピールしていましたが、すぐに敗戦を受け入れ笑顔で勝者の亀田京之助選手を称え、その後引退の挨拶に。

挨拶を横で聞いている亀田京之助選手の仕草も好感が持てる素敵な最後でした。

長い現役生活お疲れ様でした。坂本英生選手に勝った時は本当にビックリしました。

初勝利ならずも最後まで見せ場を作った今淵啓輔選手

特徴あるボクサーはコアなボクシングファンの間で話題になるもの。

ベジータ石川選手や上述のヤマタクさん等。

この今淵啓輔選手もそうした選手の1人でした。

今淵選手が注目されたポイントは勝ち星がない点。

引退試合前の戦績は14戦して12敗2分。

その状態で迎えたラストファイトの相手は18歳のデビュー戦ボクサー佐藤和輝選手。

2023年1月27日(金)のラストファイトは最後どうしても見ておきたかったので現地観戦してきました。

試合は開始早々から佐藤選手が今淵選手をロープに詰めて一気に攻める。

引退試合に華を持たせようなんて気持ちは微塵も感じない気持ちの良いボクシングで佐藤選手が先制。

あわや1Rでストップかという展開から何とか立ち直した今淵選手。

2R目は接近戦での左右フックに活路を見出し、スイッチを交ぜながら反撃しますが、ラウンド終盤にロープ側で右をもらいバランスを崩したところでダウンが宣告されます。

しかしここから3Rに見せ場が。

接近戦での打ち合いの中、今淵選手の右アッパーが佐藤選手をとらえ、会場が沸く。

ダウンを奪うほどのヒットではなかったですが、見栄えの良いアッパーを何発かヒットさせます。

最終ラウンドも甲乙付け難い激しい打ち合いの中で試合終了。

会場は大きな拍手に包まれ、密かに僕は泣きました。

結構泣きました。

1人観戦の40の親父ですが。

今淵選手の試合中の頑張り、そして試合後の人柄を感じる所作が心を打ちました。

負けても負けてもリングに上がり、1勝を目指して戦い続けること15戦。

最終的に今淵選手が勝利を手にすることはありませんでしたが、戦い続けるその姿に勇気をもらった人は僕だけではないはず。

長い人生、良いこともあれば悪いこともある。

人間なら誰だって挫折する。

時にはダウンする時も。

それでも諦めずに立ち上がり、ファイティングポーズを取り続ける限り人生は続きます。

自分のこの先の人生、体も衰えて上手く行かないこともたくさん出てくるでしょうが、リングの上で勝利を目指して戦い続けた今淵選手を思い出して戦い続けようと心に誓いました。

現役生活お疲れ様でした。

そして勇気を与えてくれてありがとうございました。

まとめ

以上2021,2022年度に試合を行い、定年引退を迎えるであろう選手達の紹介でした。

2022年に試合をしていない選手も含めると、2022年度だけで20名以上の選手が定年引退を迎える事になりそうです。

この流れは翌年も翌々年も続き、プロテスト受験の年齢を34歳に引き上げた事で定年間際のボクサーは今後も増加してゆくでしょう(六島ジムのポジティブ太郎選手が気になる)。

という状況でしたがJBCの改正により、条件付きで定年年齢を超えたボクサーも再びプロボクサーとしてリングに上がることが可能になりました!!

今後はこの記事で紹介した引退ボクサー達が再びリングに上がることも出てくるかと思います。

記事中でも取り上げましたが、近年は働き方改革や在宅勤務の浸透によって、サラリーマンでももう一つのキャリアを目指しやすい環境が整ってきました。

30過ぎて遅咲きでボクサーを目指す方もこの先増えてくると思うので、良い流れだと思います。

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