こんにちはボクシングブロガーのtorajiroです。
亀田史郎氏のトレーナーライセンスが2023年7月に交付されたと報道がありました。
再交付となれば2007年にセコンドライセンスを停止されてから実に16年振りに史郎さんが現場に戻ってくる事になります。
この件より以前に、長年続いたボクシング元三兄弟世界チャンピオンの亀田三兄弟とJBCの裁判はJBCが1億の賠償を命じられての敗訴で決着。
JBCは正味財産の赤字も続いて一時清算法人となっていました。
>>JBC解体の危機!?正味財産とボクシング興行数の推移から見た今後
この裁判については早い段階からJBC側の問題が指摘されており、世間の亀田バッシングを追い風にしてJBCが感情論で動き過ぎた印象の強い出来事でした。
一方、同時に進められていた亀田史郎氏のセコンドライセンス復活についてはJBC側が長年慎重にならざるを得なかった事情もありました。
個人としては「亀田史郎氏のセコンドライセンス復活に賛成」ですが、なぜ10数年間、亀田史郎氏のセコンドライセンスが復活されなかったのかを今一度振り返りたいと思います。

亀田史郎氏のトレーナーライセンスが長年再交付されなかった理由
それでは早速、何故亀田史郎氏のトレーナーライセンスが長年再交付されなかったのか、その理由を考察していきます。
亀田史郎氏の実に4度の処分歴
「亀田興毅×亀田大毅の3150チャンネル」の中で亀田興毅氏が史郎氏のライセンス剥奪問題について「2010年にJBCの方に暴言を吐いたことでライセンス停止処分になった」と語る場面がありましたが、亀田史郎氏の処分歴は1度ではありませんでした。
処分歴は実に4度!!

過去4度の処分歴をJBCの事業報告書から引用します。
亀田史郎セコンド(協栄)の厳重注意処分(10月12日付):後楽園ホールにおける乱闘騒動の際、それに加担しようとしたと誤解される言動があった。
引用元:日本ボクシングコミッション 平成18年度事業報告書より
これが1回目の処分。
この騒動の詳細は以下の記事を読むと良く分かります。
結構ビックリな内容です。
そして次。
亀田史郎(協栄)セコンドライセンスの無期限停止(10月15日付):チーフセコンドとしての第一義として、当該選手に対してスポーツマンシップの理念の教導を誤った責任。
引用元:日本ボクシングコミッション 平成19年度事業報告書より
2.試合開始前のレフェリーの注意に際し、チーフセコンドの亀田史郎が行った恫喝、威嚇行為。
3.当該試合のチーフセコンドとして、亀田大毅選手にルール違反を惹起させる動機を作った責任。
4.2006年10月12日及び2007年4月16日にセコンドとしての不穏当な行動に対して厳重注意を促した経緯があるにもかかわらず、前項の行動を成した責任。
これが2回目と3回目。
2回目の騒動については以下の記事が参考になります。
3回目については有名な内藤大助戦での反則指示ですね。
反則指示自体はある程度はあり得るのかもしれませんが、試合前の相手陣営を威嚇する様子は理性を欠いているように映りました。

試合も序盤から亀田大毅選手がガードを固めて頭からぶつかりにいくような場面が散見され、終盤は有名な反則オンパレード。
この試合が原因で3度目の処分を食らいセコンドライセンスが無期限停止に。
2007年の出来事なので今からもう16年以上昔の話ですね。
この試合に関してはデビュー前から亀田家に注目していた自分も正直嫌な気分になりました。
そしてラストの処分。
亀田史郎(亀田) [処分]セコンドライセンスの取り消し(2010年4月13日付) 五十嵐紀行(亀田/クラブオーナー・プロモーター)
引用元:日本ボクシングコミッション 平成22年度事業報告書より
[処分]クラブオーナーライセンス、プロモーターライセンスの無期限停止 (2010年4月13日付)
[理由] 亀田史郎は過去に2度の厳重注意処分を受け、2007年10月15日付でセコンド ライセンスの無期限停止処分を受けていたにも関わらず、2010年3月27日試合関係者に対して威嚇、恫喝行為を行ったため。
五十嵐紀行は会長としてセコンドライセンス無期限停止中の身にある亀田史郎の行動 を厳しく監督すべき立場にあったにも関わらず、同人と共に執拗な抗議を行い、同人の言動を増長させたため。
最終的に無期限停止処分を受けている中で威嚇、恫喝問題を行なってしまったことでライセンス取り消しとなりました。
最後の恫喝問題は亀田興毅選手がポンサクレック選手に敗れた試合後の暴挙。

妥当な判定だっただけに何故?
やや亀田選手よりとすら思えた順当な判定で暴れてしまった史郎氏について、さすがにこの時はライセンス取り消しにする以外方法はないだろうと僕も思いました。
この当時の史郎氏はとにかく荒れていました。
そこは再認識しておきたいところです。
勿論物によってはマスコミにけしかけられた部分もあったでしょうが。
再三の注意が無視された現実
ライセンス取り消し後の2013年にも一度ライセンスの再発行申請をするという報道がありましたが、結局この時に再交付の許可は降りませんでした。
JBCとしては1度ならず2度までも、どころか3度も4度も問題を起こした亀田史郎氏のライセンス再交付を認めることは、大きな責任問題に発展します。
これで再交付を認めて再度亀田史郎氏がトラブルを起こしたら監督能力を問われる問題に発展します。
JBCにとって、3度の忠告を無視した相手に対してライセンスを交付するメリットはなく、再交付は慎重にならざるを得ません。
仮に自分がJBCの関係者だとしても、あの当時の亀田史郎氏に対してライセンス再交付を認めるという選択肢はあり得なかったでしょう。
ボクシング関係者の間にも広まった亀田史郎氏の悪評
亀田裁判の報道では、「JBCが亀田ジム会長とマネジャーのライセンス更新を認めない処分を下したことで、3兄弟は国内での試合を行えなくなった」と被った被害内容について要約されますが、所属ジムがなくなっても移籍すれば活動は続けられます。
では何故この時これだけ実績のある選手の移籍先が決まらなかったのでしょう。
水面下で移籍先候補のジムとの話し合いも進んでいたそうですが、最終的に移籍が受け入れられなかった理由の一つが亀田史郎氏の存在だったとも言われています。

「亀田3兄弟は良いけれど、あの親父さんを止められない。」
ボクシングジム関係者内でそういった判断もあったらしいとささやかれるほどに、当時の史郎さんは荒れていたんですね。
日本中のボクシングジムが危険人物と見做している状況下では、管理責任が伴うJBCもライセンス再交付を認められる訳が無かったのです。
それでも亀田史郎氏のセコンドライセンス再交付に賛成する理由
以上、散々亀田史郎氏の事を散々批判してしまいましたが、個人的には亀田史郎氏のライセンス復活には賛成です。
その理由を順番に説明します。
当時の問題行動は子供を守るためもあった
過去の亀田史郎氏の問題行動は、全て"自分のためではなく我が子を守りたいという親心が招いてしまったもの"でした。
子供達の将来から他の選択肢を排除して自分が引き込んだボクシングの世界なので、自分にも責任があるという多少の負い目もあったかもしれません。
だからこそ余計に子供達の前に立ちはだかった障害に対して過度に反応してしまったのではないでしょうか。
対戦相手陣営への威嚇も、採点結果に対する抗議も、反則指示(これに関しては真偽は定かではありません)も全ては子供達を勝たせたいため、守りたいため、その一心の必死の思いが歪んだ形で表出してしまったと僕は捉えています。
今、史郎氏が子供達のために出来ること
今、亀田興毅氏は3150FIGHTファウンダーとして活躍し、大毅氏はKWORLD3ジムの会長としてジムを切り盛りしています。
この状況下で、亀田史郎氏が子供達のために出来ることはこれしかありません。
KWORLD3ジムの選手を一生懸命育て、3150FIGHTのリングに上がれるような選手にする。
自分の育てた選手が負けて暴れてしまったら子供達が築き上げて来たものを一瞬で壊してしまいます。
そんな馬鹿な事を今の亀田史郎氏がやる訳がないでしょう。
指導者としての能力の高さ
何と言っても3兄弟全員を世界チャンピオンにしたトレーナーとしての腕前は文句なしです。
3150ファイトクラブで選手達を育成する様子を見ましたが、トレーニング内容も理にかなっていて、3150ファイト出身の選手達は総じて下半身のバランスが良いです。
ただただしんどい練習をしているだけでなく、ちゃんと理にかなった練習をしていないと育てる選手全員があんなにバランスの良いボクサーになることはあり得ません。

本番前の選手のリラックスのさせ方も上手!
これだけ腕の立つトレーナーをこのまま排除しておくのはボクシング界にとっても大きな損失です。
ボクシング界にもメリットが大きい
亀田史郎氏のセコンドライセンスが復活したら、かつて程の影響力はないにしても反対意見を持つ層も含めボクシングに関心が集まるはず。
3兄弟を世界チャンピオンに育てた実績もあるので、3150ファイトクラブの時のように亀田史郎氏の下で指導を受けたいという個性的なキャラも集まってくるでしょう。
そうなればプロボクサーが減り続けているボクシング界にとっては有り難いこと。
>>プロボクサー数調査 過去15年の日本人選手の減少数に驚愕!!
亀田史郎氏の復活でプロを目指す選手が増えれば、ボクシング界にとっても試合枯れが防げるという大きな恩恵をもたらすし、JBCにもライセンス料や試合承認料といったお金が入ってくることになります。
正にWIN-WIN-WINな関係ですね。
まとめ
亀田史郎氏のトレーナーライセンスが長い間再交付されなかった理由を最後に整理します。
亀田史郎氏のトレーナーライセンスが再交付されなかった理由
- 実に4度の処分歴
- 再三の注意が無視された
- 関係者内に広まった悪い評判
「いくら言っても分かってくれない人」というレッテルを貼られた人物だったが故にトレーナーライセンスが再交付されることはなく今日まで来てしまいました。
しかし亀田史郎氏には三兄弟を世界チャンピオンに育てた手腕があります。
そして我が子を守るためにも暴れる事は絶対に許されない立場にある今、我が子の気持ちを無視して亀田史郎氏が暴れるとはとても考えられません。
ちょっと前まで勝ちまくっていた3150ファイトクラブ出身の選手達も対戦相手のレベルが上がるに連れて段々と勝てなくなってきました。
ここらで亀田史郎氏が全面に出ることでKWORLD3ジムに所属する選手達にも勢いが出てくるでしょう。
トレーナーとして3150FIGHTのリングに上がる日を楽しみにしています。