那須川天心選手がアンチも含めたファンの期待を良い意味で裏切り、世界ランキング4位の強敵ジョナサン・ロドリゲス選手に挑みます。
ジョナサン・ロドリゲス選手はSフライ級で長期政権を築いた実績を持つカリド・ヤファイ選手をKOで下し、戦績も20戦17勝(7KO)2敗1分。
年齢も25歳のバリバリ現役の乗っている選手。
帝拳ジムの本田会長は那須川天心選手のデビュー当初「10戦目までは世界挑戦はさせない」と明言していました。
一体なぜ那須川天心選手は僅か4戦目でこんな強敵に挑むことになったのでしょう。
本田会長が明言していた那須川天心選手の育成計画
帝拳ジムの本田会長は那須川天心選手のプロ転向時点から10戦目までは世界戦はないと明言。
「10戦目までは絶対に世界戦はさせない」
「というか実力的に10戦目までに世界戦は無理」
と断言していました。
帝拳ジムとしてはキックから転向してきたボクシング界の至宝を、
焦らずじっくりボクシングに慣れさせ、
機が熟したところで今回対戦するジョナサン・ロドリゲス選手のような強敵にぶつけ、
勝てば世界という計画だったのでしょう。
ファンはすぐに強敵との対戦を望む傾向にありますが、海外のトップ選手達もキャリアの序盤はアンダードッグを相手に勝ち癖をつけながら育成するのが一般的。
それこそ今回那須川天心選手が対戦するジョナサン・ロドリゲス選手もデビューから6戦目までの対戦相手は0勝か1勝の負け越している選手との対戦で実力をつけていった選手。
いきなりジャンプアップや冒険マッチはファンとしては嬉しいですが、敗戦や思わぬ苦戦を強いられることで選手の自信を喪失させ、壊してしまうリスクもあります。
パーフェクトレコードを作った方が有望選手として市場に売りやすいという側面もあります。
選手を育てていく上で勝てる相手をぶつけてキャリアを積ませる手法は育成面では効果的。
しかし日本ではあまりこの売り出し方は好まれません。
日本でアンダードッグ相手にキャリアを積む手法が極端に嫌われるのは亀田アレルギーの名残りでしょうか。
本田会長・帝拳ジムの想像を超える那須川天心選手の成長
本田会長は10戦目まで世界戦はないと明言しながらも、実際のマッチメイクはデビュー戦から想像以上の強敵をぶつけるハード路線。
- デビュー戦はタイトル経験もあるイケメン日本ランカー与那覇勇気
- 2戦目はメキシコ王者
- 3戦目は下位の世界ランカー
先にキックからプロに転向して東京ドームで世界王者となった武居由樹選手と比べてもとても厳しいマッチメイク。
武居選手の3戦目はA級初戦同士の対決でしたので。
アンチ天心勢は下の階級の選手との対戦という点を指摘して批判していましたが、リング上で天心選手が見せたスピード感抜群のボクシングは超一級品。
試合の度に自分の周囲の元ボクサー勢の天心評価は爆上がりしています。
僕自身も本田会長の「10戦目まで世界戦はない」という発言を疑問に思う程に天心選手のパフォーマンスは素晴らしいものだと感じていました。
ファン目線ではKO勝利がないという点に目が行きがちですが、試合の中身は毎試合が圧倒です。
そうして4戦目に世界ランク4位の危険な選手に挑むことになった那須川天心選手。
本田会長も含め陣営もスポンサーも那須川天心選手のこれまでの成長曲線と練習で見せるパフォーマンスから、このレベルの相手をぶつけても勝算が十分以上にあると判断したのでしょう。
帝拳ジムは冒険的なマッチメイクをしないジムなので、これは凄いこと。
世界の本田会長。決して無謀なマッチメイクはしない本田会長が天心選手の実力にお墨付きを与えたということ。
4戦目で世界上位ランカーにぶつけても問題ないと本田会長が判断するほどに、今の天心選手は伸びているのでしょう。
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強敵と戦いたくても戦わせてもらえない現実
時に〇〇選手は格下の相手や下の階級のランカー、おいしい選手ばかりを相手にしていると揶揄される場面があります。
選手自身も内心ではそうした声に対して「自分だって強い相手と戦いたい」と思っていることも多いでしょう。
それでも強敵との対戦が実現しないのは、マッチメイクの難しさだけでなく「まだそのレベルに達していない」という陣営の判断もあるから。
選手は自分の周囲を実力で納得させ、更に稼げる選手になって初めてファンも自分も望むようなマッチメイクを実現出来るものです。
那須川天心選手は人気があり、客を呼べて稼げるボクサーです。
ただそれだけでは自分が望むような試合は実現出来ません。
「天心の実力ではまだ無理だ。」
そう判断されてしまっていたら今回のような世界4位との対戦は実現しなかったでしょう。
人気だけでなく実力も認められてきたということは、この試合に勝てば世界の扉は一気に開くのではないか。
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那須川天心選手が挑む世界王者は誰だ??
もし4戦目でジョナサン・ロドリゲス選手を撃破した場合、本田会長も前言撤回して世界戦の実現に動き出すでしょう。
4人いる日本人世界王者の誰とぶつかるのか??
那須川天心選手自身は記者会見において全員興味があると発言。
今のバンタム級の世界王者で一番狙いやすいのはWBO王者の武居由樹選手でしょうか。
相性も考えると現時点の両者比較でもやや那須川天心選手が優位かもしれません(あくまで主観です)。
まだまだ穴もある武居選手ですが、防衛を続ければその先に天心選手との対戦も十分有り得るでしょう。
IBFの西田凌佑選手は減量がキツイので那須川天心選手が挑める時期が来た時には階級を上げている可能性が高いか。
中谷潤人選手、井上拓真選手はチャンピオンの中でも別格の存在。
那須川天心選手と対戦するよりもまずはこの二人による統一戦の方が現実的でしょうか。
来年世界挑戦のチャンスが巡ってくるとしたら、西田選手がその頃には返上しているであろうIBFのベルトを争う道が一番可能性としては高いと予想します。
堤聖也選手辺りと王座決定戦なんてことになったら面白いのではないか。
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まとめ:2025年はバンタム級日本人ボクサーが激アツな年に
本田会長にも実力を認められ、予想よりも大幅に早く世界戦のチャンスが巡ってきそうな那須川天心選手(次戦に勝てば)。
ジョナサン・ロドリゲス選手は本当にかなり強いですが、帝拳がGOサインを出したということは相当自信もあるのでしょう。
7月20日の試合に勝利し、年内もしくは年明けにいずれかの団体の挑戦者決定戦に勝利し、2025年の間に那須川天心選手が初の世界線に。
思っていたより相当早くに世界戦のリングに上がる那須川天心選手を見ることが出来そうな予感がしてきました。
2025年はバンタム級が熱くなります!!